先週14日(日)のコミケ会場での話。
 ブースで売り子をしていると、目の前を若い男性が通り過ぎていった。知っている人だった。声をかけようとしてフリーズ状態に。
 名前がでてこない。あれ? 誰だっけ? 彼のことはよく知っているんだ。単に顔を見かけただけの関係ではない。その証拠に彼の声を思い浮かべられる。これって彼と話をしたってことだろう。話しかけられたことは何度もある。つい最近もあった。

 にもかかわらず名前が思い出せない。名前だけではない、どこで知り合ったのか、どういう繋がりなのか、まるでさっぱり。
 会社関係? 違う。イベントで一緒だった? 違う、違う。 結局、その日は思い出せなかった。こういうのってとんでもなく気持ちが悪い。

 翌日から思い出せ運動が始まった。15、16、17、18日、いっこうに記憶は蘇らない。ああ、もうダメかぁ、ここまででかかっているのに……。19日の金曜日、退社間際になって、突然思い出した。
 近所のファミリーマートの店員だ! 
 そりゃ毎日のように利用しているもんなぁ。声もかけられるよ、「いらっしゃいませ」「○○円になります」「ありがとうございました」

 帰宅途中、当のファミリーマートに寄ろうとしたら、偶然にもその店員が外から帰ってきたところ。思わず呼び止めた。
「14日、コミケにいたでしょう?」
「はい」
「見かけたんですよ、東ホールで、Oのブース近く」
「3日間通いましたから」
 あらま。




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Author:kei
新井啓介
ライターの・ようなもの
まぐまPB「夕景工房 小説と映画のあいだに」(studio zero/蒼天社)
「僕たちの赤い鳥ものがたり 1978-79」(文芸社)
神保町で働いています。

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