日本テレビの「ぶらり途中下車の旅」。最初は30分番組だったのに、数年前(?)に1時間に拡張された。人気があるからだろう。
 土曜日の午前、起きていれば観る。まあ、TVをつければ、の条件つきだけれど。TVをつけててもほかの番組を見ていることもある。チャンネルを替えてこの番組をやっているのに気づき、あわてて見入るなんてことも度々だ。

 ところで、この番組、本当に〈旅人〉がぶらり途中下車する旅だと思っている視聴者はいるのだろうか? 
 駅を降りた〈旅人〉が近所の公園を訪れた。何やら奇抜な木のおもちゃで遊んでいる年配の男性がいる。一緒になって遊ぶ〈旅人〉。おもちゃは男性が作ったものだという。
「近くに工房があるのでちょっと寄っていきませんか」
「よろしいんですか」
 なんてやりとりがあって〈旅人〉は工房にお邪魔してあれやこれや。

 番組の中でよく見るパターンだが、たまたま偶然なんてあるわけないじゃないか! 
 調査(?)担当の構成作家が、今度取材する沿線の駅周辺を調べて、こういう有名な工房がある、出演してもらいましょう。いついつ撮影にいきますので、何時に○○公園で待機していてください、なんて交渉して。お店やレストランも同様。
 実際にロケハンしてから決めるのかも。
 TVなんだからそんなことは当然だ。しかし、〈旅人〉が訪れる場所は途中下車した駅周辺。ずっとそう思っていた。うちの近所の団子屋に取材が来たことを知るまでは。

 その団子屋は西川口から歩いて15、16分ほどのところにある。住宅街にあるから、初めての人が西川口駅から歩いてたどりつけるものではない。ぶらり歩いて行ける店ではないのである。
 オンエアを見て驚いた。
 JR京浜東北線のぶらり途中下車ではなかった。埼玉高速鉄道線。南北線が赤羽岩淵駅を境にこの鉄道に切り換わる。その川口元郷駅を降りてぶらりやってきたところがくだんの団子屋。
 そんなバカな! 川口元郷駅からだといったい何分かかると思っているのか? だいたい川口元郷駅圏内じゃない。いくらなんでもの世界なのだ。
 ずいぶん経ってから、店の人に訊いた。
「どういう経緯で取材が来たんですか?」
「インターネットで知ったらしいんですよ」
 以後、番組で紹介されるスポットが降りた駅の周辺だとは思わなくなった。

 番組ではたまにこんなシーンにお目にかかることがある。
 それまでは晴れていたのに、カットが変わると 雨になって〈旅人〉が傘をさしているなんてシーンだ。変わりやすい天気だったのだろう、くらいの認識だった。
 数年前、某落語会(二人会)で真相がわかった。若手の人気噺家某がマクラで「ぶらり途中下車の旅」の思い出を語ったときだ。〈旅人〉として小田急線沿線を紹介した。このとき撮影に3日間を要したと。2日目だか3日目だかに雨が降った。前日は晴れているので画がつながらないだろうと心配すると、ディレクターは鷹揚にかまえていて「別にいいんじゃないですか」。
 考えてみれば、いくつもの駅に降りて取材するわけだから1日で終了するわけがない。晴れから雨のつなぎはそういうことだったのかと得心した次第。
 それにしてもタイトルに偽りありの番組だなぁ。

 似たような番組でテレビ朝日「ちい散歩」がある。あれは見るからに行きあたりばったりのような気がするのだが、実際はどうなのだろう。
 行きあたりばったりといえば、テレビ東京「モヤモヤさまぁ~ず2」もそうだ。とはいえ、番組内で必ず立ち寄る食べ物屋はどうなんだろう? その日に決めて事前に交渉するとしても、料理の味が大いに関係するので(必ず感想を言いますからね。まずかったら目も当てられない)、やはり撮影日前の事前調査はしているような気がする。
 真相はいかに?




関連記事
スポンサーサイト
NEXT Entry
松本清張ドラマスペシャル「砂の器」 その1
NEW Topics
「千里眼」「忠臣蔵コレクション4 列伝篇 上下」「のり平のパーッといきましょう」 ~ある日の夕景工房から
58
「朝霧」「墓地を見おろす家」「催眠」「蟲」「ファミリー」 ~ある日の夕景工房から
「論戦」『黒澤明 「一生一作」全三十作品』「鯛は頭から腐る」「読むJ-POP 1945-1999 私的全史」 ~ある日の夕景工房から
「死国」「黒い家」「天使の囀り」「バースディ」 ~ある日の夕景工房から
「世紀末、どくぜつテレビ」「江戸はネットワーク」「清張ミステリと昭和三十年代」 ~ある日の夕景工房から
「ジャーナリストの作法」「たかがテレビ されどテレビ」「藝人という生き方、そして死に方」 ~ある日の夕景工房から
「恋」「秘密」「ラザマタズの悲劇」 ~ある日の夕景工房から
「兄弟」「芸人失格」 ~ある日の夕景工房から
「少年H 上下」「ジュラシック・パーク」「塗仏の宴 宴の支度」「塗仏の宴 宴の始末」 ~ある日の夕景工房から
Comment
全~然 関係のないコメントで申し訳ありません。

はじめまして「ファイティング寿限無」作画の野部優美です。

「ファイティング寿限無」を取り上げて頂いてありがとうございます。



立川談四楼師匠の小説に惚れ込み、直談判して「寿限無」を描かせて頂いております。

「絵」はまだまだですが、「話」は最高に面白いので応援よろしくお願いいたします。

野部優美
野部優美 さん
書き込みありがとうございます。
感激しております。

談四楼師匠の出版記念パーティーで、お開き寸前のときに挨拶させてもらったものです。
覚えていらっしゃいますか?
切り抜きやっておりますので(笑)。

10月29日(土)は、息子さんの試合、応援に行かれるんでしょうね。私も自分のイベントとかぶっていなければ、絶対行くんですけど。残念です。
Trackback
Comment form
 管理者にだけ表示を許可する
プロフィール

kei

Author:kei
新井啓介
ライターの・ようなもの
まぐまPB「夕景工房 小説と映画のあいだに」(studio zero/蒼天社)
「僕たちの赤い鳥ものがたり 1978-79」(文芸社)
神保町で働いています。

検索フォーム
ブロとも申請フォーム
QRコード
QRコード

Page Top