2011/07/02

 「モロー博士の島 他九編」(H.G.ウェルズ/橋本槇矩・鈴木万里 訳/岩波文庫)

 「モロー博士の島」といったら、映画の印象が強い。「ドクター・モローの島」のタイトルで高校時代に公開されている。調べてみたら主演はバート・ランカスター。ずいぶん経ってから「DNA/ドクター・モローの島」というタイトルの映画も公開されている。1996年だった。主演はマーロン・ブランドとヴァル・キルマー。実をいうとどちらも観ていない。有名なSF小説の映画化作品との認識はあったのだが、H・G・ウェルズだったとは。
 たまたま新着本コーナー棚にあったので借りてきた。原作は短編だったのか。それも想像していたストーリーとはずいぶん違った。なぜか僕は、人間を改造して獣にしたモロー博士が、彼らを下僕にして島に帝国を築いている、というような内容を想像していたのだ。逆だった。

 その他の作品は以下の8編。
 エピオルニス島/蛾/紫色のキノコ/パイクラフトの真実/ブラウンローの新聞/故エルヴァイシャム氏の物語/マハラジャの財宝/デイヴィドソンの不思議な日/アリの帝国/


2011/07/04

 「落語評論はなぜ役に立たないのか」(広瀬和生/光文社新書)

 落語本を立て続けに上梓している著者がついに書いたか!
 本書を図書館の棚で見つけたときにそう思った。
 落語ブームの前から、盛んに落語を巷に紹介している人はいた。一人は高田文夫でもう一人が吉川潮。立川志の輔、立川志らく、立川談春を耳にタコができるくらいプッシュしていた。あくまでも僕が感じていただけかもしれないが。
 それがあるときを境に、堀井憲一郎が週刊文春連載ずんずん調査の中で落語を話題にするようになった。熱狂的な落語ファンだったのだ。対抗するように、ヘビメタ雑誌の編集長である著者が落語本を出していく。寄席とか独演会等の落語会ではこの二人のツーショットを拝めるのだろうか。
 それはともかく、これまでどおり書いてあることは首肯できることばかり。
 著者が批判する評論家とは誰なのか?


2011/07/06

 「根津甚八」(根津仁香/講談社)

 役者として根津甚八を意識したのはいつだったか。状況劇場の人気者(だった)で名前が真田十勇士から命名されたなんてことは後で知った。NHK土曜ドラマ「男たちの旅路」へのゲスト出演か。声がでなくて引退を宣言した(囁くようにうたうのが売りの)歌手の役だった。映画では「その後の仁義なき戦い」だろうか。とはいえ、この映画、ゲスト出演のショーケンが居酒屋で喚き散らすシーンしか印象に残っていない。出世作の「さらば愛しき大地」(監督:柳町光男)は観ていない。ショーケンがその柳町光男監督のメガホンで撮る予定だった「竜馬を斬った男」では、竜馬役で出演している。結局この映画、柳町監督は降板してしまうのだが。当然石川五右衛門役で人気を呼んだ大河ドラマ「黄金の日日」にも一度もチャンネルを合わせることもなかった。今思えば、このドラマの脚本は市川森一。「勝海舟」は倉本聰が脚本だから観始めたのだ。だったら、「黄金の日日」も観なければおかしいのに。
 まあ、いい。とにかく、70年代から80年代にかけて、ショーケン、優作、水谷豊に続いて、その動向が気になる役者だった。
 00年代になってから、あまり見かける機会がなくなった。病気治療や交通事故で相手を死亡させてしまったことによる謹慎で表舞台に登場しなくなってしまったためだ。その後鬱病になったという話が聞こえてきて、やがて役者引退とのニュースが流れた。ショックだった。
 本書は根津甚八の奥さんが書いた、俳優・根津甚八の回想録とでもいうもの。本来、本人が執筆(語る)も のだろうが、なぜそうならなかったかは読めばわかる。
 状況劇場前後、唐十郎との関係が興味深い。
  

2011/07/07

 「マンガの方法論 おれ流」(柳沢きみお/朝日新聞出版社)

 副題に〈柳沢的マンガの創り方〉とある。
 6つの代表的作品を収録し、そのマンガの成り立ち、裏話等の創作秘話から、なぜマンガを描くのか、何のために描くのか、人生哲学を含めたマンガ創作論。
 別にファンではないが、無視はできない漫画家なので、図書館の棚で見つけて借りてきた。マンガを読んだことはないのに。
 漫画家・柳沢きみおといったら人はどんなイメージを持っているだろうか。僕の場合、「特命係長・只野仁」ほか、この方の描く大人向けのストーリーマンガが苦手である。あの陰気くさい絵柄がどうしても好きになれない。やはりギャグマンガが似合っている。なんて思いながら、本書を読むまで「翔んだカップル」の作者であることをすっかり忘れていた。あんなに大ブームだったのに!
 じゃあ何で覚えているかと訊かれれば、「月とスッポン」と答える。少年チャンピオンで連載していた。デビュー作だと思いこんでいたが、デビューは少年ジャンプだった。確かに「女だらけ」というマンガを描いていたっけ。とりいかずよしのアシスタントだったのか。
 ギャグマンガで出発し、一時代を画し、やがてストーリーマンガへ移行して、以後コンスタントに連載を抱え活躍しているさまは、第二の永井豪みたいだ。永井豪より職人ぽいが。


2011/07/12

 「ならぬ堪忍」(山本周五郎/新潮文庫)

 これも図書館の新着コーナーで見つけた文庫本。
 山本周五郎の、戦前に書かれた短編13編を収録している。

 
 この項続く




関連記事
スポンサーサイト
NEXT Entry
2011年 7月の読書 ~備忘録として その2
NEW Topics
「千里眼」「忠臣蔵コレクション4 列伝篇 上下」「のり平のパーッといきましょう」 ~ある日の夕景工房から
58
「朝霧」「墓地を見おろす家」「催眠」「蟲」「ファミリー」 ~ある日の夕景工房から
「論戦」『黒澤明 「一生一作」全三十作品』「鯛は頭から腐る」「読むJ-POP 1945-1999 私的全史」 ~ある日の夕景工房から
「死国」「黒い家」「天使の囀り」「バースディ」 ~ある日の夕景工房から
「世紀末、どくぜつテレビ」「江戸はネットワーク」「清張ミステリと昭和三十年代」 ~ある日の夕景工房から
「ジャーナリストの作法」「たかがテレビ されどテレビ」「藝人という生き方、そして死に方」 ~ある日の夕景工房から
「恋」「秘密」「ラザマタズの悲劇」 ~ある日の夕景工房から
「兄弟」「芸人失格」 ~ある日の夕景工房から
「少年H 上下」「ジュラシック・パーク」「塗仏の宴 宴の支度」「塗仏の宴 宴の始末」 ~ある日の夕景工房から
Comment
Trackback
Comment form
 管理者にだけ表示を許可する
プロフィール

kei

Author:kei
新井啓介
ライターの・ようなもの
まぐまPB「夕景工房 小説と映画のあいだに」(studio zero/蒼天社)
「僕たちの赤い鳥ものがたり 1978-79」(文芸社)
神保町で働いています。

検索フォーム
ブロとも申請フォーム
QRコード
QRコード

Page Top