夕方、高輪台のギャラリー・オキュルスへ。
 今、「アンドロギュノスの裔(ちすじ) ★渡辺温オマージュ展」を開催しているのだ。
 二井康雄さんが書き文字を出展しているということもあるが、渡辺温オマージュというところに興味を覚えた。23日(金)のオープニングパーティーに行くつもりだったが、都合でNGになってしまった。
 雑誌「新青年」の編集者・渡辺温がきちんとインプットされたのは、小林信彦の短編「夙川事件 -谷崎潤一郎余聞-」を読んでからだ。「文學界」09年7月号に掲載された小説(?)である。随筆のような気がするのだが、確か小説と紹介されていたので。谷崎邸を訪問した帰り、乗ったクルマが踏切で電車に衝突、事故死した。享年27。
 小説家でもあったのは最近知った。復刊された「アンドロギュノスの裔」(創元推理文庫)がかなり面白いらしい。薔薇十字社から出版されたハードカバー本も展示されている。薔薇十字なんていう出版社が本当にあったのか。京極堂シリーズの薔薇十字探偵社の元ネタはこれか!

 購入本
 「渡辺温全集 アンドロギュノスの裔」(渡辺温/創元推理文庫)

          * * *

2011/07/21

 「マンガ脳の鍛えかた」(門倉紫麻/集英社)

 少年ジャンプで活躍している人気マンガ家37名へのインタビュー集。〈総計15万字激白インタビュー〉とある。
 巻頭は本宮ひろ志(「男一匹ガキ大将」)で最後が秋山治(「こちら葛飾区亀有公園前派出所」)。途中が知らない漫画家ばかり。作品は知っているけれど、読んだことがないという……。いや、それならまだいい。漫画家は知らない、作品も読んだことがない、ばかりか、タイトルすら聞いたことがないなんてのもかなりあって。でも、クリエイティブ(マンガを描く、原作と書く)に関する話はどれも面白い。
 原作者へのインタビューでわかったことがある。昔、原作とは文字が主体だった。各人書き方はいろいろあっただろうが、一般的なのはシナリオみたいなものだった。それが現在はネーム(コマワリ)まで手がけることがふえてきた。マンガも進化している。


2011/07/23

 「生きる」(谷川俊太郎・松本美枝子/ナナロク社)

  生きているということ
  いま生きているということ
  それはのどがかわくということ
  木漏れ日がまぶしいということ
  ふっと或るメロディを思い出すということ
  くしゃみをすること
  あなたと手をつなぐこと
  生きているということ
  いま生きているということ
  ……

 僕はこの詩を小室等の歌で知った。フォーライフレコードを設立してリリースした2枚めのアルバムに収録されている。アルバムタイトルにもなっている「いま生きているということ」。
 このアルバムは全曲谷川俊太郎が作詞している。既存の詩に小室等が曲をつけたというべきか。山田太一脚本、田宮二郎主演による「高原へいらっしゃい」の主題歌「お早うの朝」も収録されている。
 最初友だちからアルバムを借りてテープに録音した。ずいぶん経ってからやはり手元に置いておこうと買った、ような気がする。「いま生きているということ」はたまにカラオケで歌うのだが(一人カラオケのとき)、必ず目頭が熱くなってしまう。
 本当のタイトルが「生きる」であることを知ったのはいつか。ショーケン主演でリメイクされたドラマ「君は海を見たか」(脚本はオリジナルと同じく倉本聰)で効果的に引用されたときだろうか。その後「3年B組金八先生」でも引用された。

 詩と写真のコラボレーション本。
 娘の誕生日プレゼントで買ったのだが、その前にゆっくりと頁を繰った次第。
 詩と歌に少し違いがあることを知る。



2011/07/25

 「死神の精度」(井坂幸太郎/文藝春秋)

 伊坂幸太郎の小説は、いくつ映画化(映像化)されているのだろうか。
 「陽気なギャングが地球を回す」「鴨とアヒルとコインロッカー」「フィッシュストーリー」「重力ピエロ」。「死神の精度」もまず映画として認識している。このときは作家の名前までは知らなかった。「ゴールデンスランバー」の映画を観て、やっと注目するのである。先に井坂作品のファンになっていたら、時間を自由自在に操る構成の小説をどう映像に移し代えるのか、それが気になって劇場に足を運んだのではないか。
 死神を主人公(狂言廻し?)にした短編集。
 6編を収録。

 死神の精度/死神と藤田/吹雪に死神/恋愛で死神/旅路を死神/死神対老女




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Author:kei
新井啓介
ライターの・ようなもの
まぐまPB「夕景工房 小説と映画のあいだに」(studio zero/蒼天社)
「僕たちの赤い鳥ものがたり 1978-79」(文芸社)
神保町で働いています。

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