「痛快!ビッグダディ」最新作が放送された(8日)。
 生活費を稼ぐため愛知の豊田市に単身赴任して整骨院で働いていたビッグダデイが、5人の子の母であるバツイチ女性と恋仲になって、復縁した妻と離婚、奄美を引き払って愛知に移住した。現在は再婚して現妻は妊娠中。そんな予想外の展開になって、番組は中止、なんていうニュースをネットで見たのはついこの前だったような気がするのだが。
 素朴な疑問。ビッグダディ(夫婦、新旧の)には避妊という概念はないのだろうか?

          * * *

 ハリウッドでリメイクされた「幸福の黄色いハンカチ」は日本でも昨年公開されたが、評価のほどはどうだったのか。あっさりと公開されいつのまにか終了してしまったような気がする。個人的には劇場まで足を運んで観る映画ではなかった。DVDになってもレンタルするつもりはないが。
 まさか日本でもTVのスペシャルドラマでリメイクされるとは思わなかった。高倉健の役には阿部寛、武田鉄矢&桃井かおりの役は濱田岳と堀北真希。阿部寛の別れた奥さんは夏川結衣。キャスティングに興味をそそられ時間が来る前から4にチャンネルを合わせていた。

 この数年、黒澤明監督作品が次々とリメイクされた。TVは、テレビ朝日がスペシャルドラマとして「天国と地獄」「生きる」。映画は「椿三十郎」「隠し砦の三悪人」。オリジナルシナリオを使用した「椿三十郎」以外どれも無残な結果だった。まあ、TVにしろ映画にしろ過去の名作、傑作のリメイクがオリジナルを超えるものになったためしがない。これは海外だって同じこと。
 にもかかわらず、なぜリメイクが横行するのか。特に現代劇の場合、オリジナル版とはかなり時代の隔たりがあるのだから、リメイクするなら、それ相当の改変が必要なのだ。TVの「天国と地獄」「生きる」なんて、そこらへんの問題に無頓着すぎた。現代を舞台にしたことが、まず失敗だったと思えてならない。

 そんな作品群に比べたら、昨日の日本テレビ「幸福の黄色いハンカチ」は、1977年に公開されたオリジナルのテーマ、キャラクター、ストーリー(エピソード)を踏襲しながら、きちんと2011年に蘇らせた稀有なリメイク作品なのではないか。ホント、かなりよく出来たドラマだった。

 映画は武田鉄矢が女に振られてなけなしの貯金でクルマを購入して北海道旅行を計画、その最中に桃井かおりや高倉健と知り合い、ドライブしながらクライマックスの黄色いハンカチを探しになるロードムービー。
 リメイクされたドラマは、刑期を終え出所した阿部寛と本土から仕事を探しに北海道にやってきた濱田岳が堀北真希の住む町(羽幌町)で出会うところから話が転がっていく。港から見える島に阿部がかつて暮らしていた家があり、もしかしたら別れた妻が待っているかもしれないという設定。
 阿部寛を若いころやくざ稼業に身を置いたこともある漁師に設定したのが光る。クライマックスはもちろんだが、ふたりの出会い、愛の告白(これは斬新!)、妊娠を知った際の阿部の喜び等々に生かされた。
 爆笑を誘った武田鉄矢がカニにあたって下痢に苦しむエピソードを冒頭にもってきたり、チンピラに絡まれる危機はオリジナルと変えて取り入れている。下痢のシーンは、青年が羽幌町に滞在するきっかけとなり、チンピラのシーンは男の内面に隠れた強さを表現していた。単なる引用ではないのだ。黄色いハンカチ(模様入り)を使ったふたりの合図も、その前にそうなるような伏線をはっている。ドラマのオリジナルではないか?

 妊娠していたことを、鯉のぼりの竿の先につけた黄色いハンカチで知らせるシーン。船から双眼鏡で見て妊娠を知った男の内面ではとんでもなく喜んでいる様子に、ニヤニヤ。
「そういうのを草野球のキャッチャーというんだ。ミットもない……」 
 男のダジャレに対する青年の反応も今風で笑えた。

 わからなかったのは、男が町の警察署に連れて行かれるくだり。オリジナルでは無免許運転という確かな理由があった。ドラマは、過去に殺人を犯した犯人であるという単なるチクリの電話(だったと思う)。旅館まで警察官が出向くことになるだろうが、男からいきさつを聞いて身元を調べてそれでケリがつくような気がするのだが。

 それから、これはあくまでも演出上の問題なのだが、クライマックスの漁船の動き方について。羽幌町を出港した漁船は島に向かって、視聴者から見て右に移動していく。途中で引き返すことになって、Uターンして左に向かう。で、島に向かうことになってまたまたUターン。このとき、船は左から右に曲がって、そのまま進行しなければならない。ところが、なぜか、また右から左に曲がって、そのまま左に移動していく。
 ここでイマジナリーライン云々を指摘するのは間違いだと思うが、進行方向を一定にする(島がフレーム右にあるなら、船は必ず右に移動させる)のは映像作品の基本ではないのか。

 オリジナル映画の主役たち(倍賞千恵子と武田鉄矢)のゲスト出演がうれしい。高倉健は無理にしても桃井かおりも出演してほしかった。
 一緒に芝居するシーンはなかったが、濱田岳は金八先生の教え子だった。初の師弟(?)共演か? 最近濱田岳が結婚したのは、このドラマの影響があるのではないか。


 【追記】

 「幸福の黄色いハンカチ」は、一度TBSでドラマ化されているのですね。菅原文太の主演で。知らなかった!




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Author:kei
新井啓介
ライターの・ようなもの
まぐまPB「夕景工房 小説と映画のあいだに」(studio zero/蒼天社)
「僕たちの赤い鳥ものがたり 1978-79」(文芸社)
神保町で働いています。

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