70年代にショーケンが主演したTV(ドラマ、TV映画)、映画の中で、個人的に一番だと思っているのが「祭りばやしが聞こえる」だ。言葉が足りないか。ショーケンのファッションで一番気に入っているのは、ということ。
 「祭りばやしが聞こえる」は、ショーケンが「前略おふくろ様」の次に取り組んだ作品で、自身が設立した会社ニーディー・グリーディーが制作したTV映画だ。

 ショーケンは競輪選手を演じていた。サブちゃんの短髪が伸びて、長くも短くもない、ごくごく普通のヘアスタイル。そんなヘアスタイルと、これまたどこにでもあるようなトレーナーとジーンズ(だったと思う、違うかも)姿がとても身近に感じて素敵だった。
 「太陽にほえろ!」のマカロニファッション、「傷だらけの天使」の修ファッション。そりゃもう、実にかっこよかった。でも、自分に照らしあわせると遠い存在だったことは確か。あくまでもTVの向こう側だけのものという認識だった。
 真似しようにもできないのは、こちらが中学生だったこともあるが、たとえ大人だったとしても、同じような服を着ようなんて思わなかっただろう。ところが「祭りばやしが聞こえる」のファッションは、自分が着ても様になるような気がした。だから、同じようなイメージのトレーナーを買ったりしたわけだ。劇中で着ているのはブランドものなのかもしれないが。
 同時期、ショーケンは映画「八つ墓村」に主演しており、ごくごく普通の青年ぶりは、この映画でも見ることができる。

 日本のTV映画は16ミリカメラが当たり前なのだが、「祭ばやしが聞こえる」は劇映画と同じ35ミリカメラで撮影された。プロデューサー(クレジットはされていなかったと思うが)としてのこだわりだろう。これにより、明らかにこれまでのTV映画作品と違う奥行きがあって、鮮明でしなやかな映像となった。画面に一種独特な空気感が漂っていたように思う。
 大麻騒動でレギュラーの室田日出男が降板するなどして、後半のストーリー作りが大変だったが(僕自身不安だったし、心配もした)、とはいえ、毎週楽しみにしていた。
 高校3年生、ちょうど受験勉強と受験の真っ只中の息抜きになっていたのだろう。

 エンディングに流れる主題歌が印象的だった。これで柳ジョージ&レイニーウッドを知った。ヴォーカルの声、バックの演奏。大人のロックという雰囲気にしびれた。
 しばらくして、アルバムを手に入れる。それが、ファーストアルバム「Time in Changes」だった。「祭ばやしが聞こえる」の主題歌のほかに「一人」が収録されていて大感激。「傷だらけの天使」に流れた幻の名曲だったからだ。もちろん、カヴァーであることは承知の上。
 続いてセカンドアルバム「Weeping in the Rain」。このころ僕は友だちに「柳ジョージ&レイニーウッドがいい」とさかんに吹聴していた。アルバムタイトルにもなっている「Weeping in the Rain」の英語詞を日本語詞にして「雨に泣いている」のタイトルでヒットする前のことである。「雨に泣いている」はショーケン主演のTV映画「死人狩り」の主題歌になったのがヒットのきっかけだ。

 ショーケンの主演だというのに、なぜか僕は「死人狩り」を一度も観ていない。調べてみたら予備校時代の放映なのだった。見られないはずである。この時期東京のアパートに一人暮らししていた。上京時に持参していた小型TVを勉強の妨げになると郷里に送り返してしまったのである。再放送をチェックしたこともない。再放送があったのかどうか。少しでも観た、という記憶がない。ビデオ(DVD)にもなっていないだろう。
 「雨に泣いている」はサードアルバム「Y.O.K.O.H.A.M.A.」に収録されている。

 セカンドアルバムでは、B面に収録された「同じ時代に」が大好きだった。この曲に対する思い入れは強く、大学時代に監督した8ミリ映画「ブラッドハウンド ゆうずうのきかない自由に乾杯!」でエンディングに流れる主題歌にしてしまったほど。

 PYG解散後、俳優業に専念していたショーケンが歌手活動を再開し、ちょうど「影武者」撮影時だったと思うが、全国ツアーをしていた。バックが柳ジョージ&レイニーウッドだった。その模様はショーケンの「熱狂・雷舞」という2枚組のライブアルバムになった。僕がショーケンのステージパフォーマンス(及びバックミュージシャンの演奏テクニック)に熱狂するのはもっとあとになるのだが。
 「雨に泣いている」のヒットで、柳ジョージ&レイニーウッドはTVの歌番組に出演するようになったと思うが、醒めたような感覚でギターを弾く姿がたまらなかった。
 コマーシャルソング(「微笑の法則」)も手がけ、これもヒットしている。

 時期はすっかり忘れてしまったが、女優の浅野真弓と結婚(確か柳ジョージは再婚)したのは、ちょっと驚いた。NHK少年ドラマシリーズ第一弾「タイム・トラベラー」で主人公の芳山和子を演じてファンになった女優さんである。後で知るのだが、「タイム・トラベラー」の前に「帰ってきたウルトラマン」第一話にも出演している。本名、島田淳子で活躍していたが、その後浅野真弓という芸名になって、「ウルトラマン80」にレギュラー出演していた(ウルトラマン先生の同僚教師役)。

 柳ジョージ&レイニーウッドを卒業したのは、バーボンレーベルからアトランティック・レーベルに移籍してリリースした2枚組アルバム「Woman and I… OLD FASHONED LOVE SONGS」を買ったあとぐらいだろうか。
 ちょっと移籍が信じられなかった。本人にしてみれば世界的に由緒あるレーベルは憧れの的だったのだろうが、僕にはバーボンを裏切ったような気がしたのだ。ショーケンのライブアルバムに夢中になるのとシンクロするように聴かなくなったような気がする。解散してそのままフェードアウト。もう追いかけなくなった。個人的には柳ジョージ&レイニーウッドのファンだったからということもあったかもしれない。柳ジョージのヴォーカル、ギターと同じく、上綱克彦のキーボード(と楽曲)、鈴木明男のサックスも大のお気に入りだったのだ。
 数年前、再結成されたときは、ちょっとアンテナが動いたのだが、結局コンサートには行かなかった。

 今朝(もう昨日だが)、「みのもんたの朝ズバっ!」の芸能ニュースを見ながら、大声あげていた。
「嘘、うそ!」
 63歳。糖尿病を患っていたという。夫人に看取られて亡くなったというのが少しなぐさめになったか。

 合掌




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Comment
No title
若年寄 さん
情報ありがとうございます。
柳ジョージ&レイニーウッドは、レコード(LP)と、それをダビングしたカセットテープしか持っていないので、聴くことができません。YouTubeが唯一の音源でした。これは買いかもしれません。
No title
こんばんわ。
VIVID SOUNDさんが、レイニーウッド時代のアルバムを
リマスタ-して、紙ジャケも極力、LP風に仕上げて
出してくれています。(音、ジャケともかなりいいです。)
SAYONARAのシングルまで、付けてくれています。
よろしければ、揃えてください。
こちらもどうぞ。
http://ameblo.jp/chick-of-keith/
http://www.rainywood.jp/
http://hpcgi1.nifty.com/benzoo/epad.cgi
若年寄 さん
そうそう、レイニーウッドのライブにも興味があって、一度伺おうと思ったときもあったのですが、まだ果たしていません。
No title
ご無沙汰です。
ギターマガジン2月号、是非Get。
追悼 柳ジョージ
http://ameblo.jp/chick-of-keith/
http://www.rittor-music.co.jp/blog/gm/cat26/
若年寄 さん
一昨日、書店で見つけました。
買おうとしたのですが、小銭がないのでまた後でということで、ショーケンのインタビューだけ読んだんです。
今週中に買います。
で、一昨日、人形町の某試写室で映像付の「同じ時代に」を聴きました。
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プロフィール

kei

Author:kei
新井啓介
ライターの・ようなもの
まぐまPB「夕景工房 小説と映画のあいだに」(studio zero/蒼天社)
「僕たちの赤い鳥ものがたり 1978-79」(文芸社)
神保町で働いています。

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