「時をかける少女」。
 80年代、原田知世ファンを急増させた大林宣彦監督版ではなく、昨年公開された谷口正晃監督版。この「時をかける少女」最新作については、シネりんで谷口監督(と上野彰吾カメラマン)をゲストに呼んだときのプレイベント(2010年の「時をかける少女」)及び劇場で鑑賞したとき(「時をかける少女」)にそれぞれ書いている。

 「第三回 船堀映画祭」の初日に上映されるということで駆けつけた。
 後半は涙ぽろぽろ状態だった。理由がある。一週間前に「蔵出し上映会!」を開催したからだ。筒井康隆の原作をTVドラマ化した「タイム・トラベラー」に感激して中学時代に撮った「明日を知る少年」、大学時代に8ミリ自主映画サークルに入部して最初に手掛けた「ブラッドハウンド ゆうずうのきかない自由に乾杯!」等一挙上映したのだから。

 昨年の封切時に観たときより70年代や8ミリ映画に対する想いが敏感になっていて、映画に描かれているエピソードの一つひとつに反応してしまう。たとえば、映画作りに夢中になっている大学生が暮らす四畳半の部屋、小さなこたつ、アパートの外階段、共同玄関、アパートのある町の風景。まさに「ブラッドハウンド」じゃないか! 
 あるいはまた部屋の壁に貼ってある映画ポスター。「ゴジラ」第一作のほかに「キングコング対コング」が見える。もう少し下の世代(オレだ、オレ!)だったら絶対「モスラ対ゴジラ」だ。ルパン三世の初の映画化(それも実写化!)「ルパン三世 念力珍作戦」。何の併映作だったか? そうそう「ノストラダムスの大予言」だ。

 中学1年のときに好きになって、中学3年のときに想いが通じた彼女のこと、彼女と始めた交換日記、毎週日曜日の長電話……当時のそんな思い出が蘇ってきて涙になる。
 「蔵出し上映会!」にはサークルの1年下の後輩(女性)たちが参加してくれた。卒業以来の再会だ。約30年ぶり。とはいえ、会ってしまえば、関係は大学時代のそれ。
 この感覚、感情はある程度歳をくった人でしかわからないだろう。十代や二十代の若者にわかってたまるか! という気持ちもある。
 時の流れ、20年、30年があっというまに経ってしまったような感覚、短く感じるというものの、そこにはきちんと生きてきた証が刻まれているのだ。
 生まれた娘との初めての対面、小学校の入学式、中学、高校のブラスバンド演奏会、大学の合格発表……来年の春には大学を卒業する。社会人にはならないのだけれど。

 大林宣彦監督版は、十代の少女の異性を好きになる感情をビビットに描き出した。後日譚となる谷口正晃監督版は、同じ十代の少女を主人公にしながら、この遥かなる時の流れを経てきた大人世代の感情を隠し味にしているのではないか。
 それをノスタルジアと言っていいかわからないけれど。


 【追記】

 高校生の芳山和子を演じていたのは石橋杏奈だったのね。封切時は斉藤とも子みたいという印象があった。「マイ・バック・ページ」でも気になる存在だったけれど、やっぱりいいよ、この女優さん。
 母親になった和子を演じたのが安田成美。なぜか今回は、美人になった片桐はいりに見えて仕方なかった。そんな見方はいけない、いけない! 何度も否定したのだけれど。
 同様に、高校生の仲里依沙が女装した二宮和也に見えてしかたなかった。




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Comment
時かけは・・・
大林宣彦監督版「時かけ」はまさにラストのエンドクレジットでぶっ飛ぶ!う~ん大林監督恐るべし。
Take2 さん
エンディングロール、あのカーテンコールですね。
初めて劇場で観たときは驚きました。
「狙われた学園」の冒頭、学園祭の描写を含めて、大林監督に一度ミュージカル映画を撮ってほしかったんですよね。
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プロフィール

kei

Author:kei
新井啓介
ライターの・ようなもの
まぐまPB「夕景工房 小説と映画のあいだに」(studio zero/蒼天社)
「僕たちの赤い鳥ものがたり 1978-79」(文芸社)
神保町のブックカフェ二十世紀で働いています。さまざまなイベントを企画、開催していますので、興味あれば一度覗いてみてください。

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