本日、18時定時ちょうどに退社、銀座へ。
 談四楼独演会で知り合った(フォロワーズのMさんの紹介)、イラストレーター(&文筆家)平野恵理子さんの個展「冬支度」(柴田悦子画廊)に足を運んだ。
 今回の作品を観るかぎりでは、小林泰彦のような、妹尾河童のような印象を受けた。それにしても平野さん本をたくさん上梓している。
 この前の独演会で、「夕景工房 小説と映画のあいだに」を買っていただき、なおかつ「サインを」なんて声にいい気になってサインした私って……。

 ●平野恵理子個展 「冬支度」

 日 時:2011年11月14日(月)~20日(日)
     12:00~19:00(最終日は17:00)
 場 所:柴田悦子画廊
     〒104-0061 中央区銀座1-5-1 第3太陽ビル2F
     TEL 03-3563-1660

          * * *

 前々項から続く

 「ツィゴイネルワイゼン」は封切時の上映が斬新だった。原宿の駅前(だったと思う)にドーム型の簡易映画館を建ててそこで上映したのである。シネマ・プラセットという名称だった。この一風変わった上映方法が話題になり、作品も圧倒的な評判を呼んだ。にもかかわらず僕は足を運ばなかった。
 なぜか? 今となっては自分でもわからない。「悲愁物語」で清順映画に見切りをつけたのか、原宿という地に怖気づいたのか(当時原宿が大嫌いだった!)。
 シネマ・プラセットを訪れるのは、第二弾の「陽炎座」だ。松田優作主演。とんでもないインパクトがあって衝撃を受けた。どんなストーリーだったかすっかり忘れているのだが、これぞ「清順美学か!」と感激したことだけは覚えている。
 当時の日記をあたってみた。

     ▽
1981/11/14

 『陽炎座』
 清順流フィルム歌舞伎に堪能した。
 はっとさせるショットの数々。
 たとえば、子どもたちの歌舞伎芝居の不気味さ、大楠道代の踊りの美しさ、妖しさ。
 舞台が一瞬のうちに崩れ去るその衝撃。
 ラスト近くになって画面のバックに据えられた数々の地獄絵(?)の異様な美しさ。『悲愁物語』のくだらなさが嘘みたいな清順美学。
 さすが。
 『ツィゴイネルワイゼン』が観たい。
     △

 で、その後、「ツィゴイネルワイゼン」を観たかというと、これがよく覚えていないのだ。名画座で押さえることができなかった。確かTV放映の際に観たような気がするのだが。しかしTVで観るような映画でない。もしかしたら観ていなかったかも。

 「船堀映画祭」は駅前のタワーホール船堀の3ヶ所が会場となる。地下の映画館(シネパル1、シネパル2)と5階の小ホール。フィルム上映が地下、DVDその他メディアによる上映が小ホールなのだ(と思う)。「大津波のあとに」は小ホールで上映された。上映終了後に「ツィゴイネルワイゼン」を上映する地下のシネパルに移動すると、場内満員。

 まずは清順監督と二井さんのトーク。
 後方入口近くの壁にもたれて拝見することにする。
 このトークが最初もたついた。まず、二井さんが紹介されない。お客さんの大部分は二井さんを知らないのだからこれはまずい。最初に事務局サイドから(影ナレでもいいから)二井さんのプロフィールを紹介すべきだろう。説明不足で始まったトークは、マイクがオンになっていないから、後方のお客さんは聞こえやしない。あちらこちらで「聞こえない」旨発せられるが、事務局サイドまで伝わらない。
「二井さん、マイクが入っていないよ!」
 もし、これがシネりんの主催だったら、そう大声だしていたと思う。少ししてマイクが入って、場内隅々までトークが聞こえるようになるのだが。
 清順監督は車椅子で鼻にチューブを通した姿。外見は痛々しいものの、しゃべりだすと快調そのもの元気いっぱい。二井さんがタジタジとなることが何度もあった。途中で二井さんを逆に質問ぜめにしてしまうのだから。亡くなった原田芳雄については「唇がきれいだった」と。個人的には映画に起用した優作、ショーケン、ジュリーの印象も訊いてほしかった。88歳の監督、来年は新作は撮るらしい。

 映画は、通路に座っての鑑賞となった。
 冒頭の女の溺死体に蟹が合成されたショットにゲンナリしてしまったが、あとはきちんとしていた。リアルタイムに観ていたら、大正時代の風俗に心捉われていたかも。あの時代の建物や服の生地だとかに。
 同じ場所に原田芳雄と大楠道代を立たせて電話をさせ、別のところにいるという設定なんて、往年の清順ファンを歓喜させるショットか。次作「カポネ大いに笑う」で、日本なのにアメリカに見立てて撮影されたシーンがある。清順監督にとってはごくごく当たり前だったのかも。
 登場人物が何かにつけて飲食しているのが印象的だった。おちょこで日本酒を飲みながらすきやきを食べるシーン、ちぎり蒟蒻が食べたくなった。
 原田芳雄に圧倒させられる。藤田敏八(監督)は本作への出演を機に俳優としての活動が増えたのではなかったか(「夢二」では長谷川和彦を起用している)。大谷直子の乳房! 大楠道代あたりがもう少しエロスを発散させてくれたらもっとよかったのに。




関連記事
スポンサーサイト
NEXT Entry
小林信彦を読む 1982年2月
NEW Topics
告知ページ
 「グリーンマイル」 ~映画を観て原作をあたる
 「雨あがる」「ボイスレター」 「スペーストラベラーズ」「ケイゾク/映画 Beautiful Dreamer」 「DEAD OR ALIVE 犯罪者」 ~ある日の夕景工房から
「シュリ」「海の上のピアニスト」「新選組」「ストーリー・オブ・ラブ」 ~ある日の夕景工房から
「天国と地獄」「どん底」 ~ある日の夕景工房から
「赤ひげ」「御法度」 ~ある日の夕景工房から
「ワイルド・ワイルド・ウエスト」「リトル・ヴォイス」「黒い家」 ~ある日の夕景工房から
1分間スピーチ #19 マスコミの悪意について
「双生児 ~GEMINI~」「秘密」「皆月」 ~ある日の夕景工房から
NHK「ファミリーヒストリー」は8月18日(金)に放送されます!
Comment
Trackback
Comment form
 管理者にだけ表示を許可する
プロフィール

kei

Author:kei
新井啓介
ライターの・ようなもの
まぐまPB「夕景工房 小説と映画のあいだに」(studio zero/蒼天社)
「僕たちの赤い鳥ものがたり 1978-79」(文芸社)
神保町で働いています。

検索フォーム
ブロとも申請フォーム
QRコード
QRコード

Page Top