先月は読書録が更新できなかった。このところ2ヶ月遅れのペースで定期的に更新していたので、書名、作者、出版社のみUPしておき後で感想を挿入しようかとも思った。でもそんなことしたら絶対そのままになってしまうので、やめたのだった。今月中に続けて9月分を掲載すればいいわけだから。
……なんてできるのか、オレ?

     ◇

2011/08/03

 「西巷談百物語」(京極夏彦/角川書店)

 「巷説百物語」シリーズ最新作。まさかまた続編がでるとは。「続」のあと「後」、「前」が出て打ち止めだとばかり思っていた。「西」とあるので「西洋」のことだと思ったら、「関西」だった。「ウルトラ警備隊西へ」の西だったわけで、考えてみれば、なぜ西洋だと勘違いしたのだろうか? 
 時代は「巷説百物語」と同じ。東で又市たちグループが活躍していれば、当然西でも同じように仕掛けて暗躍する一派がいる。それが又市の兄弟分、靄舟(もやぶね)の林蔵だ。こういう設定ならいくらでも物語は紡げますねぇ。被害者面して登場する人物が実は加害者で、途中で立場が逆転して林蔵たちに成敗される展開。
 7編収録。 
 桂男/遺言幽霊水乞幽霊/鍛冶が嬶/夜楽屋/溝出/豆狸/野狐


2011/08/10

 「一刀斎夢録(上)」(浅田次郎/文藝春秋)

2011/08/17

 「一刀斎夢録(下)」(浅田次郎/文藝春秋)

 連載時、オレはいったい何を読んでいたのだろうか? 読了してそう思った。
 前半はどこか面白いのかわからないまま惰性で読んでいたところがある。何より現代(大正時代)から幕末を回想する形式が、最初とっつきにくくて仕方なかった。行ったり来たりの構成が。「壬生義士伝」を読んでいないつけがこういうところに現れる。まあ、このときは「壬生義士伝」が、関係者による回想で成り立っているなんて知りはしないのだが。
 斎藤一の回想話がなかなか盛り上がらない。西郷隆盛が登場すると、とたんに場面が華やかになって、ああやっと本調子になったと喜ぶと、次回ではまたいつものようにかったるくなっている、なんてことが続いた。
 夢中になりだしたのはクライマックスになってから。終了10回くらいのことである。
 本になったらきちんと読もうと思った。上梓されると、書店で無料で配付されている浅田次郎新選組三部作を紹介しているパンフレット(?)をもらってきた。「壬生義士伝」「輪違屋糸里」を読んだ。そういった予習、復習が奏功したのか、最初から引き込まれた。
 坂本龍馬を暗殺したのは斎藤一である、西南戦争は西郷隆盛と大久保利通が日本の軍隊を強化するために計画した壮大なる〈やらせ〉である、等々、浅田次郎の歴史観を知る物語でもある、といえようか。
 幕末、西郷隆盛は、賊軍・新選組を追う官軍の主要メンバーであった。明治時代になると、新選組の残党斎藤一が、警察隊の一員として西郷隆盛一派を成敗する。なんという歴史の皮肉。

 
2011/08/23

 「あんじゅう 三島屋変調百物語事続」(宮部みゆき/中央公論新社)

 「おそろし 三島屋変調百物語」の続編。ページごとにイラスト(南伸坊)が掲載されていて、面食らうが、読売新聞に連載されていた(09/01/01~10/01/31)とわかりで合点がいった。そりゃ連載回数分のイラストがあるってものだ。このイラストがなかなかいい味をだしている。

  序 変わり百物語
  第一話 逃げ水
  第二話 藪から千本
  第三話 暗獣
  第四話 吼える仏
  変調百物語事続

 4編収録されていて、プロローグとエピローグがつく構成。書名になっている「あんじゅう」は第三話の「暗獣」からとられている。なぜひらがなになったのか? 「おそろし」の続編だからか。
 この「暗獣」に泣けた。特に次の一文。
     ▽
おまえは孤独だが、独りぼっちではない。おまえがここにいることを、お前を想う者は知っている。離れてはいても、仰ぐ月は同じだ。眺める花は同じだ。離ればなれになっても、それを支えと慰めに、生きていこう。
     △

 ヒロイン、おちかに綾瀬はるかで映画化できないものか。




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Author:kei
新井啓介
ライターの・ようなもの
まぐまPB「夕景工房 小説と映画のあいだに」(studio zero/蒼天社)
「僕たちの赤い鳥ものがたり 1978-79」(文芸社)
神保町で働いています。

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