2011/12/18

 「化石の森」/「雨のアムステルダム」(銀座シネパトス)

 第一弾のプログラム、「約束」は一度劇場鑑賞しているから途中から観てもかまわなかった。しかし、今回、最終回は「雨のアムステルダム」「化石の森」の順。両作品ともビデオでしか観たことがないのだが、自分の中のメインは「雨のアムステルダム」だ。冒頭のタイトルバックのメインテーマ(音楽・井上堯之)は必聴だろう。

 上映場所が変わっていた。シネパトスはスクリーンが3つある。前回は「1」の、いかにも場末の映画館といったところで縦に長くキャパも大きい、今回の「3」はこじんまりしているものの場末のイメージはない。いや、あるか。
 この映画祭は定期的に(一週間おきにとか)会場が移動するのだろうか。だとすると、ロビーに貼りだされたショーケンに関する記事類(インタビュー等々)、雑誌表紙、CDやDVD、プログラム等の移動も大変だなぁと余計な心配をしてしまう。

 「化石の森」の途中から入り、「雨のアムステルダム」をきちんと観て、「化石の森」の途中で出る。こんなことも高校時代は当たり前にやっていたんだと感慨にふける。
 今、封切館では途中で退場することはできても途中から入場することはできない。座席の完全予約または整理券による番号順入場になっているからだ。
 シネコンに対してあれこれ文句をいう映画ファンは多い。個人的には、感謝しているところがある。大ヒット映画にいい席を求めて1時間以上前から並ぶ必要がなくなった。レイトショーがあって、退社後にゆっくりと、低料金で観られるようになった。この2点において。
 途中入場ができなくなったこと、外部からの飲食の持ち込みができなくなったことは不便きわまりないのだが。それから一週間単位(だと思う)で上映時間が変わってしまうのもなんとかならないものか。まあ、そういうフレキシブルな対応ができるのが劇場側のメリットなんだろうが。

 とにかく、「銀座シネパトス」は、一部封切館ではあるものの、劇場の雰囲気は限りなく名画座だ。たしかここ、昔は銀座地球座という名称だった。地球座というと思い出すのが恵比寿地球座。谷ナオミ主演のSM映画(日活ロマンポルノ)3本立てを観た名画座として記憶にある。
 なんて話はどうでもよくて――。

 「化石の森」は10年以上前にビデオで観た。近くのビデオレンタル店にあったのであわてて借りてきたのだ。幻のショーケン映画だったし、篠田正浩監督ということでわくわくしながら観ていたのだが、深刻で救いがなくて観終わって落ち込んだ。以後ある意味封印してしまった。
 思い出したのはTVドラマ「外科医柊又三郎」初回にチャンネルを合わせたときだった。あのインターンが医者になった現在が柊又三郎なのか? しかし映画「化石の森」について覚えているのは〈暗くて重い〉ということだけ。
 まさか殺人を犯していたなんて!

 初めてスクリーンで観て感動があった。ビデオの印象が払拭できた。
 この映画はある種の日活ロマンポルノだ。濡れ場シーンにけっこう反応したのだから。

 とその前に――。
 ショーケンって東京映画と縁があることがわかった。
 「ザ・テンプターズ 涙のあとに微笑みを」が東京映画だった。「化石の森」もそう。「青春の蹉跌」がそうだったではないか!
 高校時代に「キネマ旬報」を購読することになってわかったことだが、映画産業が斜陽といわれた時代、東宝はいくつか製作会社を傘下にしていた。ゴジラ映画を製作した東宝映像。その他、東宝映画、芸苑社、そして東京映画。「キネマ旬報」の邦画各社の製作状況ページでわかったことだ。
 東映だったら、京都撮影所と東京撮影所に分かれていた。

 ――二宮さよ子の裸体、濡れ場に欲情。あの子どもの母親(八木昌子)にも。いや、こちらの方がきたかも。

 ホラー映画でもある。杉村春子に背筋が寒くなった。
 武満徹の音楽は不気味だった。

 すっかり忘れていたのだが、というか認識していなかったのかもしれない、岸田森が新興宗教の神父(?)でショーケンに絡む。スキンヘッドなので思った。映画の公開は1973年、「傷だらけの天使」の放映は74年。ということは、辰巳がかつらをはずして坊主頭をみせる時期とそれほど違いはない。だったら「傷だらけの天使」撮影前に岸田森があの頭だったってこと知っていたのではないか、ショーケンは。

 冒頭のキャストクレジットで桂木美加の名前を発見。「帰ってきたウルトラマン」の丘隊員だ。どこに出てくるか、スクリーンを注視していたがわからなかった(たぶん、理容室で働く女性の一人だと思う)。

 この項続く




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Comment
傷だらけの天使
日テレBSで再放送していますね、11話
おもしろかったです、はちゃめちゃなところもあり、ですね。
No title
どらさまでしょうか?
ジンギスカンさん? 紙ふうせんネタなら迷わずそう思うのですが。

11話って、私が一番好きな「シンデレラの死に母の歌を」ですね。
るねでした(^_^;
ごめんなさい、名を記入し忘れました。

あと、日本ブログ村詩のトーナメントで第三位でした・・・だからどうしたですけど。
るね さん
>日本ブログ村詩のトーナメント第三位

おめでとうございます。
来年はぜひご一緒に紙ふうせんのライブを堪能しましょう。
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プロフィール

kei

Author:kei
新井啓介
ライターの・ようなもの
まぐまPB「夕景工房 小説と映画のあいだに」(studio zero/蒼天社)
「僕たちの赤い鳥ものがたり 1978-79」(文芸社)
神保町で働いています。

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