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 12/20(火) (「股旅」)&「瀬降り物語」
 12/25(日) 「恋文」&「魔性の夏 四谷怪談より」

          * * *

2011/12/18

 「化石の森」/「雨のアムステルダム」(銀座シネパトス)

 その1から続く

 「雨のアムステルダム」のビデオを観た経緯は以前書いた
 ビデオ鑑賞のときは、70年代の映画という印象が強かった。なので今回ドラマを楽しむより劇場で井上堯之の音楽に触れるという意味合いが大きかった。
 脚本・山田信夫、共演が岸恵子、三国連太郎というと、どうしても「約束」を思い出してしまう。そういえば「化石の森」も山田信夫が書いているのだ。
 ちなみに、監督は蔵原惟繕。蔵原監督というと一般的には「南極物語」なのだろうが、僕はどうしても「陽は沈み陽は昇る」のイメージが強い。映画は観ていないのだが。
 撮影が岡崎宏三。「化石の森」もそうだ。名前は「ねむの木の詩」で知った。僕にとって、岡崎宏三、姫田真佐久、長谷川清、仙元誠三が70年代の名キャメラマンである。
 
 ヨーロッパロケを売りにした日本映画は何本もあるが、概して評判はよくない。市川崑監督が浅岡ルリ子とルノ・ベルレー(「個人教授」!)の共演で撮った「愛ふたたび」は完全に忘れら去られてる。かつてのライバル、ジュリーにもパリを舞台にフランス女優を相手役に「パリの哀愁」という主演映画があるが、こちらもまたしかり。
 「雨のアムステルダム」が、もし、当時、地元太田の映画館では公開されていたら(当然、東京よりずいぶん遅れて来るのだが)、ショーケン主演ということで、絶対足を運んでいたと思う。しかし、見逃し(地元で上映されたのかどうか不明)てからは、映画自体当時の他の作品に比べあまり語られることがないので、やはりアムステルダムロケだけが売りの映画なのだろうと考えていたフシがある。
 「青春の蹉跌」で、まず音楽に琴線が触れたのだったら、「雨のアムステルダム」では〈音楽・井上堯之〉のクレジットに反応すべきだった。
 中学時代、音楽に惹かれて洋画を観ていたところがある。サントラのレコードを買い集めるのを友だちと競ったものだった。なぜ「青春の蹉跌」でサントラアルバムを購入しなかったのか。「雨のアムステルダム」の音楽に注目しなかったのか。
 まあ、今となっては理由もわからないことをあれこれ言っても仕方ない。

 それにしても――。
 「化石の森」にしろ「雨のアムステルダム」にしろ、映画は映画館で観るもの、ということを再認識させてくれた。ビデオで鑑賞したときより数倍面白かったのだから。これはいったいどういうことか。暗闇に身を沈めてスクリーンと対峙するからだろうか。余計な雑念に集中力を遮断されないからか。

 「化石の森」の主人公は、マカロニがインターンになったようなイメージがある。対して「雨のアムステルダム」はまんま小暮修が弱小商社の商社マンになってオランダに駐在していると思えばいい。修ちゃんよりインテリだけど。
 ファンゆえの贔屓ととられてもしかたないけれど、ショーケンと岸恵子のカップルだと、異国情緒も様になっている。
 紙袋にくだものを入れて街を歩くシーン、スクリーンだと、また格別だ。70年代は食料品の買物には紙袋が当たり前だった。中身がいっぱいの紙袋を女性が両手で抱えて歩く。それが絵になっていたのだ。80年代になると、ビニール袋が主流になってしまって、映画(映像)的には残念でならない。電話ボックスで電話するショットも同様かも。

 岸恵子を救うため、ショーケンは西ドイツ(だったか?)の鉄鋼王の相手をつとめることになる。三国連太郎が日本の有名商社と鉄鋼王との契約をまとめるためにそのつもりで現場に連れて行くわけだ。案の定、鉄鋼王はショーケンを見初める。ビデオのときも今回もどうにもここがひっかかってしまう。
 ショーケンってその手の男にモテるタイプには思えないからだ。テンプターズ時代ならまだしも。ジュリーだったら納得できるのだが。三国連太郎の部下を演じた松橋登の方がタイプではないか?

 ラスト、自分たちが殺されるとわかっていて逃避行をはかるショーケンと岸恵子。とある一軒家に潜伏して朝を迎える。
 ビデオでは岸恵子が殺されて、あわててショーケンが逃げ出したと思っていた。違った。(殺されるのが)怖くなったショーケンは岸恵子を一人部屋の置いて逃げ出したのだ。そんな卑怯な男もショーケンらしくてステキだ。やはりこの映画は音楽とラストで語られるべき映画だと思う。




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Comment
No title
東京、行けてないです・・・。
もう今年は無理・・・何とか誘拐報道は行きたいんですが。

映画はもう、絶対映画館ですよね。
DVDで見られるから、
TVで見たから、
そんな理由で映画館で見ないのはもったいないですよねえ。
特にショーケンのように姿のいい役者は。

確かに、雑念が入らず、浸れるのもあるでしょうねえ。
ああ・・・

行きたいなあ・・・。
showken-fun さん
「恋文」のハーモニカ(ブルースハープ)+「瀬降り物語」のテーマ音楽=「アンドレ・マルロー・ライブ」のラストの感動なんですね!

1月お待ちしてますよ(笑)!
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新井啓介
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神保町のブックカフェ二十世紀で働いています。さまざまなイベントを企画、開催していますので、興味あれば一度覗いてみてください。

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