すいません、「3」「4」の前に「5」をUPします。
 ちなみに年末年始休暇最後の昨日は、「渋滞」&「八つ墓村」鑑賞。

          * * *

2011/12/29

 「竜馬を斬った男」「離婚しない女」(銀座シネパトス)

 「竜馬を斬った男」は封切時に劇場で観ている。パンフレットも買った。が、鬱のため仕事をせず、かみサンに食わせてもらっていた時期だ。そんな状況で昼間映画観ているなんて知られると騒動になる。そう判断して、帰宅前に近所の行きつけの喫茶店のママに預けたのだった。いつもお昼を食べていた店だ。中野区南台のアパートに住んでいたころの話。
 そのうち返してもらおうと思っていたものの、すっかり忘れて埼玉に引っ越ししてしまった。後でゆっくりじっくり読もうと考えていたので、ほとんど目を通していない。そのパンフレットがシネパトスで売られていた。
 買うべきか否か……。

 それはともかく。
 この映画については、当初、柳町光男監督とショーケンのコンビに期待していた。「さらば愛しき大地」の衝撃を与えるような時代劇を。「さらば愛しき大地」は観ていないのだけれど。
 山下耕作監督になって、がっかりしたことを覚えている。
 山下監督が東映時代劇(任侠劇)を支えた名匠であることは理解していた。でも当時(87年)ショーケン主演の時代劇なら新鋭監督でないと意味がないと思ったのだ。ショーケンの事務所、アルマンス企画の映画なのだから。「日本映画[監督・俳優]論」を読んで、この交代劇の真相を知り納得できたのだが。柳町監督に西岡善信を否定されたらそりゃショーケンは西岡さんをとりますよ。
 そうそう、映像京都って、もう解散しているんですね。全然知らなかった。

 今回、久しぶりにスクリーンで対面して、山下監督の映像設計に堪能させてもらった。前述の書籍で、この映画が不発だったことについて、自分が竜馬を(根津甚八が又三郎を)演じたら、状況は変わっていたかもしれないと語っている。
 果たしてそうだったろうか。
 ショーケンの竜馬なんて見たくない。かつて人斬り以蔵を演じたんだ。やはり又三郎の狂気をスクリーンで浴びたいじゃないか。


 「離婚しない女」は05年にシネマアートン下北沢で初めて観た。今回もあのときと感想は変わらない。
 ひとつだけ。
 この映画、撮影期間が二つに分かれているのではないか。ショーケンのヘアスタイルが微妙に違うのだ。

     ◇

2005/01/08

 「離婚しない女」(シネマアートン下北沢)

 80年代前半、大麻事件の謹慎後、「恋文」で見事復活を果たしたショーケンが、また神代監督とコンビを組んで、倍賞姉妹と共演した映画。神代・ショーケンコンビの総決算映画であったにもかからず、事件のためマスコミ的に抹殺されてしまった印象のある「もどり川」、そして「恋文」に続いて原作は連城三紀彦。作者はショーケンをイメージして小説を書いたという。
 北海道・根室を舞台にふたりの女性の間を浮遊する男を描くドラマ。「アフリカの光」の舞台設定に「青春の蹉跌」の男女関係を組み入れたような物語である。
 と今回観てはじめて気づいた。今となってはその理由がわからないのだが、なぜか公開当時この映画を観ていないのである。前年に公開された「恋文」が昔ながらの瑞々しい演技でショーケンらしさを発揮して非常に喜んでいたはずなのに。二本立てのもう1本が気に入らなかったのか。ビデオになったとは思うが、レンタル店で目にした覚えがない。という意味で僕にとっては長らく幻の映画であったのだ。

 倍賞千恵子扮する土地の有力者・夏八木勲の妻は夫との仲も冷え切り、時間と金を持て余している女性。町の私設気象予報士であるショーケンは大時化を予測して漁船の遭難を救った一件以来、夏八木に気に入られている。夫婦仲を察知したショーケンはすぐに千恵子をものにしようとモーションをかける。翌日、電車の中で千恵子によく似た女性・美津子に出会う。車内に置き忘れたポスターの束を彼女がオーナーをつとめる店に届けたことから、なさぬ仲になるショーケンと美津子。美津子もまた夫(伊部雅刀)との冷めた関係に悩む女性だった。
 千恵子は最初こそ拒否するものの、半ば強引に身体を重ねられた後は次第にその恍惚感に溺れていく。逆に美津子は寝ないことでショーケンへの想いを深めていく。
 ある日、互いの存在を知った女ふたりは……。

 なぜ一気象予報士でしかない男に二人の女性がそこまで固執するのか、映画の中では特に説明はない。最初にショーケンありきの企画だから仕方ないか。
 ショーケンは、「祭りばやしが聞こえる」「八つ墓村」で演じた青年の流れを汲む、髪も長くもなく短くもなく見るからに普通の男であり、そこが魅力。ところどころで垣間見せるお茶目な演技がいい。
 倍賞姉妹の共演が話題になった。それもいつも扮するキャラクターを逆転して演じているところが注目された。何しろ、倍賞千恵子は成金妻で毛皮のコートをまとい、貴金属ジャラジャラ。そして乳首まで見せて濡れ場を演じているのだ。「男はつらいよ」のさくらに慣れきっている寅さんファンにはショックだったのではないだろうか。
 ショーケンがジャケット姿で美津子の店を訪ねてきて、帰ろうとすると雪が降り出している。ちょっと待ってと美津子が奥から取りだしてきたのか、黒のウールのロングコート。その姿が決まっていた。かっこいい! オレも同じようなコートが欲しい、なんて。(ここだけの話、僕が長年愛用している黒い皮のハーフコートは、その昔ショーケン主演のTVドラマ「あいつがトラブル」で、主人公が着用していたものを真似て買い求めたのだ。ミーちゃんハーちゃんですね。あははは)
 ショーケンの部屋に無造作に置いてあるエレキギター。徳間のバーボンレコードからムーンレーベルに移籍してリリースしたアルバム「Straight Light」のジャケ写で弾くギターと同じものか?

 「傷だらけの天使」のDVD-BOXを購入して、全話を見直した時に気づいたことがある。神代監督のエピソードがやけにフランス映画しているのだ。この映画でそれを再確認した。相変わらずの神代タッチで全編押し通されるのだが、そのカメラワーク、カッティング、音楽と中学時代に観たフランス映画にダブる。音楽は井上堯之。いつものとずいぶん印象が違う。それもフランス映画っぽくさせた要因か。




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プロフィール

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Author:kei
新井啓介
ライターの・ようなもの
まぐまPB「夕景工房 小説と映画のあいだに」(studio zero/蒼天社)
「僕たちの赤い鳥ものがたり 1978-79」(文芸社)
神保町のブックカフェ二十世紀で働いています。さまざまなイベントを企画、開催していますので、興味あれば一度覗いてみてください。

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