2011/01/08

 「青春の蹉跌」「アフリカの光」(銀座シネパトス)

 ショーケン×神代辰巳監督の代表作2本立て。昔は名画座でこのプログラムがよく組まれていたのだろうなぁ。僕自身は観たことないけれど。あくまでも想像だ。
 続けて観ると、違いがよくわかる。
 初めて組んだ「青春の蹉跌」は、神代タッチで迫っているとはいえ、まだまだショーケンに遠慮しているところがある。今回初めて気がついたのだが(これまで考えもしなかった)、ショーケンのファッション。あの時代、あんなナウ(!)くて高価そうな服を着る大学生がいたのだろうか。金持ちのボンボンならいざ知らず、ショーケンは苦学生なんだよ。「太陽にほえろ!」のマカロニ刑事~「傷だらけの天使」の修(「雨のアムステルダム」の明)につらなるキャラクターであることがよくわかる。らしくないカメラワークも散見できた。

 対して「アフリカの光」は、ショーケンを完全に神代節、神代タッチに取り込んでしまった感がある。
 この映画に登場するショーケンはどこまでもかっこ悪い。ファッションだって、ドカジャンに正ちゃん帽、長靴姿。でもこれが実に似合うんだよなぁ。外見面でのかっこ悪さのかっこ良さ。
 「最も危険な遊戯」で優作が見せた、普段の鳴海昌平の姿~ドテラに毛糸の帽子というのはこれから発想されたのではないか。

 話の方もウダウダ、グジャグジャしている。アフリカ行きを夢みて北海道のとある漁港に現れた男二人(ショーケン&田中邦衛)が、町の連中とつまらないことで諍いをくりひろげる。癖のある人物(桃井かおり、藤竜也)も入り乱れてもうシッチャカメッチャカ。原作は丸山健二で脚本が中島丈博。
 ショーケンと田中邦衛のじゃれ合いぶりは画面から口臭やら体臭が漂ってくる感じがする。「離婚しない女」の夏八木勲もショーケンと肩を組み、顔と近づけ肌をこすりつけながら会話していたことを思い出した。神代演出の真骨頂か。田中邦衛が失禁するところは「真夜中のカーボーイ」を狙ったのだろうか。
 と書いて、全体の感じが「真夜中のカーボーイ」日本版、神代辰巳バージョンではないかと気づく。今更ながらだけれど。田中邦衛、途中で死んでしまうのかと思ったもの。前回、下北沢で観たときは(初めての鑑賞だった)。

 映像はまさに軟骨的文体だった。全編にわたって神代印。らしくないカットはなかった。であるから、「青春の蹉跌」と違って好き嫌いがはっきりする映画だ。受け入れない人はどこがおもしろいのか最後までわからないだろう。
 絵沢萌子が出演していた。小池朝雄の女房役で亭主の留守中に峰岸徹とまぐわりまくっている。「女教師」で興奮していて以来、あのときの表情を楽しみに出演を楽しみにしていた女優さんである。もちろん通常の演技もうまい。
 音楽(井上堯之)は、演歌風メロディーをロックっぽく弾く演奏(順のテーマ)ーが耳に残る。ベースがいい。「太陽を盗んだ男」のフィージョン系への萌芽も垣間見えたりして。
 助監督に長谷川和彦がクレジットされていた。

 「青春の蹉跌」については、「小説と映画のあいだに」で書いている。「わが青春の映画たち」に採録した。
 つけ加えておきたいのは、桃井かおりの「良いよ」の台詞。「いいよ」ではなく「よいよ」。イントネーションがたまらない。それから桃井かおりの父親役でキャメラマンの姫田眞佐久がワンカット出演していること。

 桃井かおりを知ったのはたぶんTVドラマの「それぞれの秋」。スケバン役だった。で、映画「青春の蹉跌」があって、「前略おふくろ様」の恐怖の海ちゃん役で決定的となった。その前に「傷だらけの天使」にゲスト出演しているのだが、オンタイムではその回を見逃しているのだ。
 「赤い鳥逃げた」「エロスは甘き香り」と脱ぎっぷりのいい(といっても「赤い鳥逃げた」を観たのはずいぶん経ってからだが。日活ロマンポルノ「エロスは甘き香り」は未見)新人女優だったのに、「前略おふくろ様」でブレイクしてからはどんどんステップアップしていく。その次は「幸福の黄色いハンカチ」か。人気女優になってからは、まるで脱がなくなった。
 当然の帰結ではあるが、ある時嫌な噂が聞こえてきた。共演の新人女優を現場でいじめているというのだ。自分が食われてしまっている、その腹いせに。相手は日活ロマンポルノ出身。自分だって同じような過程を経て人気者になったというのに。あくまでも週刊誌の記事で本当かどうかはわからないけれど、これで、自分の中での桃井かおり株が下がったことは確かだった。




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Author:kei
新井啓介
ライターの・ようなもの
まぐまPB「夕景工房 小説と映画のあいだに」(studio zero/蒼天社)
「僕たちの赤い鳥ものがたり 1978-79」(文芸社)
神保町のブックカフェ二十世紀で働いています。さまざまなイベントを企画、開催していますので、興味あれば一度覗いてみてください。

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