2011/12/02

 「わが封殺せしリリシズム」(大島渚/清流出版)


2011/12/05

 「トンデモ本の大世界」(と学会/アスペクト)


2011/12/09

 「運命の人(二)」(山崎豊子/文藝春秋)

2011/12/14

 「運命の人(三)」(山崎豊子/文藝春秋)

2011/12/18

 「運命の人(四)」(山崎豊子/文藝春秋)

 実際の事件を題材に、フィクショナルに展開させた作者お得意の社会派小説。
 出版されてからずっと気になっていたのだが、読む機会がなかった。1月からドラマ化(TBS「日曜劇場」)されると知ってあわてて図書館から借りてきた。別にミステリではないのだから、ドラマを観てから読んでもかまわないのだが、そうなると図書館の貸出率が高くなると判断してのこと。

 〈西山事件〉と呼ばれる外務省機密漏洩事件のことは良く覚えている。いや、事件の騒動をといった方がいい。毎日新聞の記者が外務省の機密を盗み出した。その方法が外務省の女性事務官と性的な関係を結んで、ということなので、記者も毎日新聞も世間から徹底的に非難された。
 当時中学生だった。新聞(うちはサンケイ新聞を購読)とTVの情報から、渦中の記者に非があると思い込んでいた。そう思わせるような連日連夜のバッシングだったのだ。そんな印象がある。
 今となって考えると、まるで事件の本質が見えていなかった。実際のところ、外務省の機密がどんなものだったのか知らなかったのだから。新聞等には説明があったのだろうが、そこまでは読まない。知ろうとしなかった。知りたいとも思わなかった。

 この事件は沖縄密約事件とも呼ばれる。沖縄返還協定では、返還にあたって、土地の原状回復費400万ドルをアメリカが日本に支払うことになっていた。ところが、この400万ドルを日本が肩代わりし、日本が沖縄の返還にあたってアメリカに支払う3億2000万ドルの中に含めていた。その証拠となる密約に触れた電信のコピーを毎日新聞の記者は女性事務官から手に入れた。
 この密約自体が大問題ではないか。ところがこの問題を追及するマスコミはなかった。政府は密約を否定する。証拠となるべき電信のコピーは記者が女性事務官と肉体関係を結び、半ば強引に手に入れたもの、裁判でも有罪になった。「情に通じ不法に入手した」。だから証拠の価値なし、ということか。
 記者は機密電信が欲しくて、女性事務官に近づいた。方便として肉体関係を結んだ。関係を口実に電信のコピーを迫った。コピーが手に入ると、女性事務官との仲を解消した。記者の行為が事実だったとしても、政府が400万ドルの肩代わりをした事実はどうなるのだろうか。沖縄が返還されさえすれば、国民を欺いた事実についてはどうでもよかったのか。
 途中で論点がすり替わってしまった。記者が、毎日新聞社がバッシングされるのと同時に、政府に対する徹底的な追及があってしかるべきだった、と思うのだが。
 
 小説は、この事件を記者側から描いている。
 情交については、文書が欲しいがために関係になったわけではなく、情交を結んだ過程で(つまり不倫関係になってから)、文書の存在があきらかになって、記者は女性事務官に入手したい旨依頼した、ということになっている。しかし、女性事務官は罪を認めてからは、週刊誌に「記者に騙された」旨の手記を発表して裁判でも完全に記者側と対立の道を選ぶ。
 野党議員に文書を渡したのも、きちんとした理由がある。政争の具にしたかったわけではないとしている。
 
 小説を読むことで事件の概要を知ることができた。政府が司法と手を結ぶとどうなるのかということがわかった。驚愕したのはここである。完全に情報操作で世論を誘導しているのだから。週刊誌と新聞の仲の悪さも再認識した。
 いろいろと勉強になった。そういうい意味では面白かった。しかし、小説としては「?」である。「大地の人」や「沈まぬ太陽」のような読んでいて感情の揺れとか感じなかった。もちろん誰かに感情移入するということも。
 すぐにモデルがわかる政治家の名前や新聞社、週刊誌等の名称に、安っぽさを感じてしまうのだ。「沈まぬ太陽」ではそんな風には思わなかったのに。相変わらず主人公の奥さんはよく出来た女性。これもちょっと鼻白む。

 ジャーナリストのモラルを考えた場合、それが重要であるのならどんな手を使っても情報を手に入れてもいいと僕は思う。
 だったら殺人はどうなる?


2011/12/19

 「ウルトラマン 99の謎」(青柳宇井郎・赤星政尚/二見書房)


2011/12/21

 「悪の教典(上)」(貴志祐介/文藝春秋)

 2010年週刊文春ミステリーベストテン(国内)の第一位。まあ、そんなことは関係ない。上梓すれば必ず読む作家なので、そのうち読もうと思いつつ、いかんせん図書館の棚で見かけたことがない。人気作なので予約しなければ読めないのだろう。いつかそのうちにと鷹揚にかまえていた。
 (上)がなぜか棚にあった。
 あわてて借りて読みだした。
 とんでもないボリュームだったが、夢中で読んでしまった。
 こういうストーリーだったのか!
 「黒い家」と同じくサイコパスが主人公。高校の英語教師である彼は、人を殺すことを何とも思わない。これまでも自分に都合の悪い相手を事故に見せかけ始末してきた。怖いのは、彼、とても優秀でなおかつ評判がとてもいい。女生徒たちにも圧倒的な人気なのだ。

 前作「新世界より」で、行くつくところまで行ってしまったので原点回帰なのか。
(上)を読了してあわてて(下)を借りにいった。棚になかった。予約した。50人強が待っていることがわかった。こんな人数の予約があるのに、なぜ(上)が棚に?


2011/12/22

 「おーい、寅さん ニッポン人脈記」(小泉信一/朝日新聞出版)


2011/12/27

 「大河ドラマの50年 放送文化の中の歴史ドラマ」(鈴木嘉一/中央公論新社)

 これぞ大河ドラマ入門というべき本だ。
 番組が始まったときは大河ドラマと呼ばれていなかったとは驚き。大型時代劇だったとのこと。
 とてもためになるのだが、視聴率で内容を評価しているのが何とも残念だ。ほかに指標はないものだろうか。


2011/12/29

 「悪の教典(下)」(貴志祐介/文藝春秋)

 地元図書館で順番を待っていても埒があかないので、会社近くのH図書館も予約。こちらはすぐに借りられた。
 後半の展開にのけぞった。
 映画化されたら「バトル・ロワイヤル」以上に問題になるだろう。人気作なのに映像化の話が聞こえてこないのはそういう理由か。「新世界より」は別の意味で映像化は難しい。とんでもない制作費がかかる。
 最終的に主人公の壮大で残忍な計画は成就するのか。数人のアンチ派によって阻止されるのか。ストーリー的には十分面白い。まあ、リアリティはなくなってしまうのだが。
 文章が平易で読みやすいことも、ページを繰らせる要因だろう。
 不満なのはラスト。主人公と警察の一騎打ちが最高に盛り上がらないとこの種の小説は成功とはいえない。あまりにあっけない敗北に余韻が楽しめなかった。




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kei

Author:kei
新井啓介
ライターの・ようなもの
まぐまPB「夕景工房 小説と映画のあいだに」(studio zero/蒼天社)
「僕たちの赤い鳥ものがたり 1978-79」(文芸社)
神保町で働いています。

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