「体験的石森ヒーロー論」は、サブカル・アナログマガジン「まぐま Vol.18」に寄稿した論考(のようなもの)である。特集が〈石ノ森章太郎Spirits〉と題するものだったので、昭和と平成の仮面ライダーの比較論を展開してやろうと筆をとったのだった。

 仮面ライダーが大ブームのとき、すでに小学6年生(~中学生)になっていた僕は、小学校の低学年向けのストーリー、演出を馬鹿にしていて、そんな昭和の仮面ライダーにくらべたら、平成のシリーズが(といっても、僕が夢中になったのは「剣」を除く「クウガ」から「カブト」までだが)どんなにストーリー展開や演出が秀逸で大人が夢中になれるものだったか。

 正式なタイトルは「体験的石森ヒーロー論 なんて、かっこつけることもないか 昭和の仮面ライダー世代が平成シリーズを「あんなのライダーではない!」と否定することについて いやいやあれこそ石ノ森章太郎氏が 萬画で描きたかったものではないのかと 第一期ウルトラ世代の私が強く主張する経緯と理由」。

 タイトルに石森と石ノ森が混在するのにはそれなりの理由がある。仮面ライダーを代表する数多くのヒーローものを発表していたのは1970年代は石森章太郎時代。平成仮面ライダーが始まったのは石森を石ノ森に変更してから。きちんと時制を考慮しているのだ。

 石森ヒーロー論と謳いながら、その実、1960年代から2000年代に続く、ウルトラ(マン)シリーズと仮面ライダーシリーズの体験的な比較論ができればといいな。そう思いながらも、時間的な余裕とページ数が足りなかったため、非常に中途半端な原稿になってしまった。

 というわけで、「体験的石森ヒーロー論 あるいはウルトラマンvs.仮面ライダー」と改題、加筆訂正してブログで完成させたい。 

     * * *

 もうずいぶん前に終了してしまったが、TBS系のバラエティ番組「キミハブレイク」を初めて見たときから気になっていた。内容ではない。タイトルロゴに、だ。
 石森、いや石ノ森マンガに出てくる手書き文字にソックリではないか! 
 地元選挙区から出馬した某代議士のポスターのキャッチコピーも石ノ森文字のような気がする。これは単なる偶然か? 

 ずいぶん経ってから石ノ森フォントが存在することを知った。とすると、手塚フォントや赤塚フォントなんていうのもあるのだろうか?
 まあ、それはともかく、その事実を知ったとき、久しぶりに石森章太郎、いや石ノ森章太郎のマンガに思いを馳せることになった。


「サイボーグ009」1968

 最初の出会いは「サイボーグ009」だった。マンガではない、TVアニメだ。NET(現・テレビ朝日)系で放映されたモノクロ版。調べてみると一九六八年の作品である。

 ということは僕が小学3年生だったのか。当然、原作であるマンガは読んだことがなかった。マンガなんて知らなかった。いや、クレジットに〈原作・石森章太郎〉とあるからその存在は知っていたと思う。読む機会がなかっただけのこと。なので、原作と違って007が子どもであることも、009だけ戦闘服が白で髪の色が黒ということも何の違和感もなく受け入れていた。

 009だけマフラーをしていた。モノクロなのでブラウン管ではグレーだがオープニングで〈赤いマフラー なびかせて〉と歌われていたのでしっかり赤だと認識していた。マフラーと同じ色をした他のメンバーの戦闘服については別に何色か考えたことはなかったのに。

 とにかくモノクロ版はオープニングとエンディングの歌が印象的だった。今YouTubeで見ることができる。オープニングの、「1、2、3……」とメンバーたちの声でカウントアップしていき「009」でタイトルが決まるところ、その声と映像に子どものころのワクワク感が甦ってくる。

 「サイボーグ009」はその後二度TVアニメ化された。原作の設定に戻したカラー版(テレビ朝日 79~80年)と平成版(テレビ東京 01年~02年)。特に後者は夢中で毎週つきあっていた(おかげで「サザエさん」を卒業できた!)のだが、やはり愛着があるのはモノクロ版だ。

 子ども時代の影響力は大きい。再放送を含め何度も観ていたはず。にもかかわらず、ストーリーをほとんど覚えていないのはどうしてだろう。

 YouTubeの映像で発見があった。マフラーは003もしていたのだ、短いけれど。対して009のマフラーの長さといったら! 原作が(ゆえにカラー版、平成版のアニメも)長いのは知っていたが、モノクロ版も踏襲していたとは。

 平成版アニメでいつも思っていた。こんなにマフラーが長いと戦闘の邪魔になるのではないかと。まあ、マンガゆえのデフォルメ、石森ヒーローの特徴であるのは十分理解しているつもりではあるが。

 それぞれ特殊能力を持つヒーローたちが集団で協力しあって敵と戦う物語を、僕は「サイボーグ009」で知り親しみを覚えた。アメコミの実写映画化には興味がないのに唯一「X-MEN」だけ劇場で押さえているのは、キャラクターや設定が「サイボーグ009」(+「ミュータントサブ」)だからだろう。

 「サイボーグ009」はモノクロ版TVアニメの前に劇場版が作られている。東映動画(現・東映アニメーション)「サイボーグ009」と「サイボーグ009怪獣戦争」の2作の成功がTVアニメにつながったわけだ。

 どちらも観たことがない。が、その存在だけは知っていた。「マンガ家入門」の中で石森章太郎が近況報告として記していたのである。一作目が評判だったので、「怪獣戦争」に取りかかったと。もちろん、本を手に入れたのはTVアニメのあとだから、すでに過去の話になっていたのだが。



kimiha
TBS系「キミハブレイク」のタイトルロゴ

009
サンデーコミックス「サイボーグ009」第1巻

009 2
「サイボーグ009」劇場アニメ第一弾 DVDジャケット

009monokuro
TVシリーズ(モノクロ版)の1カット


 この項続く




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新井啓介
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まぐまPB「夕景工房 小説と映画のあいだに」(studio zero/蒼天社)
「僕たちの赤い鳥ものがたり 1978-79」(文芸社)
神保町のブックカフェ二十世紀で働いています。さまざまなイベントを企画、開催していますので、興味あれば一度覗いてみてください。

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