「仮面ライダー」前史 特撮1966-70
 

 あくまでも個人的な印象ではあるが、「仮面ライダー」が登場するまでの、特撮番組の状況を説明しておこう。
 
 当時、特撮番組には3つのブランドがあった。円谷プロ、ピー・プロ、東映である。

 円谷プロの第一期ウルトラシリーズ、TBS系の「ウルトラQ」(66年)、「ウルトラマン」(66~67年)、「ウルトラセブン」(67~68年)は当時日本中を席巻していた怪獣ブームの中でトップに位置していた。東宝特撮怪獣映画を夢中で追いかけていた少年にとって〈監修・円谷英二〉の威力は絶大だった。

 円谷ブランドに対抗するのがピー・プロと東映だ。ピー・プロはフジテレビ系「マグマ大使」(66~67年)、その流れを汲む「怪獣王子」(67~68年)。東映はTBS系「キャプテンウルトラ」(67年)、フジテレビ系「仮面の忍者赤影」(67~68年)、NET系「ジャイアント・ロボ」(67~68年)。
 これらの番組もウルトラシリーズ同様毎週楽しみにしていた。夢中で観ていた。が、子ども心に円谷プロより特撮のレベルが落ちるように思えたのも確かだった。

 たとえば「マグマ大使」はミサイルの発射だとか爆発のショットになると、まんまアニメになってしまうのだ。

 ウルトラマンのスペシウム光線や科特隊員が放つスーパーガンのレーザー光線とは雲泥の差だ。あのギザギザ光線にはまさに未来を感じたというのに。
 もともとピー・プロはアニメ制作会社だったので、CGを先取りしていたといえなくもない。

 「キャプテンウルトラ」は「ウルトラマン」の後番組だった。今では第一期ウルトラシリーズというとあくまでも「Q」「マン」「セブン」の3作を指すが、番組が始まった当時はタイトルに〈ウルトラ〉が入っているし、シリーズの一つという認識だった。

 だからこそ何かと前作と比較してしまった。宇宙を舞台にしているのに、肝腎の宇宙空間がリアルじゃない。あまりに青すぎてウソっぽいのだ。特撮の出来がどうにもいまいち。音楽(冨田勲!)と3機に分離するシュピーゲル号が魅力だったが。

 「ジャイアント・ロボ」も同様だった。

 特撮に関して円谷プロ、ピー・プロ、東映の順。そんな格付けが自分の中でできあがっていた。
 ただし、東映にはもう一つの流れがあって、それがNET系「悪魔くん」(66~87年)、「河童の三平 妖怪大作戦」(68~69年)の怪奇路線だった。

 「悪魔くん」は本当に怖かった。水妖怪の回なんてまともにTVを見ていられなかったもの。こたつの中にもぐりこんで布団の隙間から観ていたような記憶がある。東映はこちらの路線が本流だと思っていた。

 1968年になると怪獣ブームが下火になってくる。大映映画「妖怪百物語」やTVアニメ「ゲゲゲの鬼太郎」等が話題を呼び、妖怪ブームが押し寄せるのだ。
 「ウルトラセブン」終了後に始まった「怪奇大作戦」(68~69年)もその影響だった。特撮大好き少年にとっては、妖怪ものは怪獣特撮の一ジャンルという認識があった。なので「怪奇大作戦」以降も円谷プロ制作の特撮番組はずっと続くものだと思っていた。

 68年は妖怪ブームとともにスポ根ブームに沸く年でもある。土曜日の夜7時日本テレビでアニメ「巨人の星」が始まったのだ。野球少年でもあった僕は夢中になる。

 この年、円谷プロ制作の大人向けの特撮ドラマ「マイティジャック」がフジテレビで開始された。
 同じ土曜日の夜8時からの一時間ドラマ。制作発表の際、初の一千万円ドラマとして話題になった。なんてことはずいぶん後になって知った。
 当時は放送されていることも知らなかった。どうしてだかわからない。

 覚えているのは番組が30分になって放送時間が変更されるというTVスポットだ。隊員の一人を演じる二瓶正也がカメラ目線でその旨を告げていた。鳴り物入りで始まった「マイティジャック」が低視聴率であえなく1クールで打ち切られた結果だった。
 が、僕は新しく始まった「戦え!マイティジャック」も観なかった。「巨人の星」の裏番組だったからだ。そんな自分を振り返るとスポ根ブームの威力が実感できるのだ。

 漫画原作を実写化した「サインはV」(69~70年)、アニメ化した「アタックNO.1」(69~71年)、「あしたのジョー」(70~71年)。「タイガーマスク」(69~71年)や「キックの鬼」(70~71年)もあった。すべて追いかけている。毎週熱中していた。

 ちなみに「マイティジャック」は再放送でその面白さに目覚めた。一時間番組を前・後編にして「戦え!マイティジャック」とセットにして放送していたのである。

 この項続く




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Author:kei
新井啓介
ライターの・ようなもの
まぐまPB「夕景工房 小説と映画のあいだに」(studio zero/蒼天社)
「僕たちの赤い鳥ものがたり 1978-79」(文芸社)
神保町で働いています。

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