変身ブーム 特撮1971-75

 「仮面ライダー」のクレジットでメインタイトルの後、〈原作・石森章太郎〉と出る。同じ原作でもアニメ「サイボーグ009」とは決定的な違いがある。
 「サイボーグ009」は雑誌から生まれた純粋なマンガである。マンガがヒットしたことによりアニメになった。最初にマンガありきの作品だ。

 対して「仮面ライダー」は東映からTV番組の企画として、デザインや設定を依頼されたもの。基本ラインが出来てから、番組の制作とマンガ連載がスタートした。つまりマンガはある種のメディアミックスなのである。

 たとえばTVで「宇宙猿人ゴリ」がスタートするにあたり、少年チャンピオンで同タイトルのマンガ(作画・一峰大二)の連載が始まった。
 第一次怪獣ブームのときも、少年マガジンに「ウルトラマン」(楳図かずお)や「ウルトラセブン」(桑田次郎)のマンガが連載されていた。

 少年誌では昔からよくあるパターンなのだが、「仮面ライダー」の場合、石森章太郎が企画から携わり、自らキャラクターデザインやストーリーの設定を行っているほか、独自のアイディア、ポリシーを持ってマンガ作品を描く。ゆえに原作者扱いになっている、というべきか。第一期ウルトラシリーズでいえば、成田享と金城哲夫を足して二で割った存在だろうか。
 同じ作品でもTV番組とマンガでは主人公や登場人物等共通しているものの、別作品なのである。

 マンガ版「仮面ライダー」を読んで、大きくうなずいたことがある。タイトルの「仮面ライダー」の意味について。TVの仮面ライダーは、本郷猛(一文字隼人)が変身した姿である。人間体の主人公が超人に様変わりするだけ。ハヤタがウルトラマンにあるいはモロボシ・ダンがセブンに変身するのと何ら変わらない。まあ巨大化と等身大の差はあるけれど。にもかかわらず仮面(の)ライダーとはいかなる理由か?

 マンガでは、改造されても本郷猛は人間体のままであり、感情が高ぶると顔に醜い傷が浮かび上がるという設定だった。その傷を隠すために仮面をかぶるのだ。

 第二次怪獣ブームは、ダークホース的存在の「仮面ライダー」が大ヒットしたことにより、等身大ヒーローブームの様相を呈してきた。
 ピー・プロでさえ、「スペクトルマン」終了後は「快傑ライオン丸」「風雲ライオン丸」等、時代劇+等身大ヒーローというジャンルを手がけるのだ。予算の関係、費用対効果というものもあるのだろう。

 「仮面ライダー」ですっかりブームの主流に躍り出た東映は石森章太郎と組んで数々の等身大ヒーローを生み出していく。
 「人造人間キカイダー」(72年)、「キカイダー01」(73年)、「ロボット刑事」(73年)、「変身忍者嵐」(72~73年)、「イナズマン」(73~74年)、「宇宙鉄人キョーダイン」(76~77年)、「秘密戦隊ゴレンジャー」(75~77年)……。
 変身ブームといわれる所以だ。

 もちろん巨大ヒーローものは円谷プロが積極的に展開していく。「帰ってきたウルトラマン」に始まる第二期ウルトラ(マン)シリーズ、「ウルトラマンA」(72~73年)「ウルトラマンタロウ」(73~74年)「ウルトラマンレオ」(74~75年)。
 TBS以外のTV局と組んだ「ミラーマン」(71~72年)、「ジャンボーグA」(73年)、「ファイヤーマン」(73年)……。

 変身ブームは、特撮番組全般の対象年齢をずいぶんと下げる結果となった。あまた生み出された石森章太郎原作・東映制作の特撮ヒーロー番組は、その最たるもので、第一期ウルトラシリーズに夢中になった僕にはどうにも我慢ならなかった。
 安易なネーミング、インパクト優先のデザイン、チープなキャラクター造形、アクション重視のドラマ展開……。

 この影響をもろに受けたのが第二期のウルトラ(マン)シリーズなのである。特に後期作品群の堕落ぶりはやりきれなかった。そこにはもはやトップブランドの輝きはなかった。僕自身、この手の番組から卒業しなければならない年齢になっていたことも大いに関係あるのかもしれないが。

 そんなわけで変身ブームにはあまりいい思い出がないのだが、あるとき石森章太郎の描くマンガがTVとは違ってきちんとテーマを昇華させたシリアスな展開となっていることに気がついた。この世界をそのまま実写化できないものかと夢想したものである。

 この項続く




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Author:kei
新井啓介
ライターの・ようなもの
まぐまPB「夕景工房 小説と映画のあいだに」(studio zero/蒼天社)
「僕たちの赤い鳥ものがたり 1978-79」(文芸社)
神保町で働いています。

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