1972年といえば、中学1年だった。特撮ヒーローやアニメといった番組から卒業する年齢だったので、ギャグアニメ「いなかっぺ大将」の後番組として、日曜日の夕方6時から始まる「科学忍者隊ガッチャマン」の印象はあまり芳しいものではなかった。あくまでもタイトルから受ける個人的なイメージであるが。
 まず〈科学忍者隊〉が野暮ったいと思った。忍者+隊がアナクロではないかと。当時アナクロなんて言葉は知らなかったけれど。〈ガッチャマン〉って何だよ? 何がガッチャだ、人をバカにしているのか!

 けっこう冷ややかに第一話を観始めたことを覚えている。
 番組が始まって冷ややかな気持ちは衝撃に変わった。
 ストーリー自体は大したものではない。この手のヒーローものでは定番と言えるものだろう。正義の科学忍者隊(5人)が力を合わせて悪のギャラクターが繰り出す巨大メカを倒す、というもの。瞠目したのはその描写だった。

 雨の中都市破壊するタートルキング(映画の後半に登場する巨大要塞の元ネタ)やゴッドフェニックス等のメカのディティール描写。爆発時の絵の美しさ、華麗さ。ディティールといえば、ゴッドフェニックスのコクピットモニターに映し出される映像(南部博士)の、下から上に流れる走査線にしびれた。
 当初はヒーローものの定番ストーリーが回が進むにつれて怒涛の展開になっていた。絵の美しさ、 メカニック描写、ドラマそのもの……。
 夢中になれたのはアニメだから、ともいえる。実写化してほしいなんて思ったことがなかった。

 90年代半ば過ぎ、SMAPが科学忍者隊に扮したTVCMが話題を呼んだ。特撮ファンの中で実写映画化を望む声が聞えてきた。ハリウッド映画並みの特撮映像に、期待を抱いたんだと思うが、僕自身は冷ややかだった。

 TVCM(15秒、30秒)にはいったいどれほどの制作費がかけられていると思っているのだ?
 計算したことがないけれど、映画に換算したらハリウッド並みの予算になるのではないか。もし本当に日本で「ガッチャマン」を映画化したら、CMみたいな映像はできないと思う。
 それくらいアニメ「科学忍者隊ガッチャマン」の設定は荒唐無稽だった。

 この項続く




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新井啓介
ライターの・ようなもの
まぐまPB「夕景工房 小説と映画のあいだに」(studio zero/蒼天社)
「僕たちの赤い鳥ものがたり 1978-79」(文芸社)
神保町で働いています。

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