TVアニメ「科学忍者隊ガッチャマン」毎週の基本フォーマットは次のとおり。

 前半で事件が起こり、ガッチャマンたちが出動――

 ①5人が装着しているブレスレッドに「バード・ゴー」の掛け声をかけると、Tシャツ&ベルボトムのパンツの衣装がヘルメット&マントスーツに〈変身〉

 ②同時に操縦している個人メカ(G1号・小型飛行機、G2号・スポーツカー、G3号・オートバイ、G4号・装甲車)が最新鋭メカに様変わり

 ③G1号~G4号が、大型ジェット機みたいなG5号に格納されてゴッドフェニックスへ

 ④5人はゴッドフェニックスでギャラクターが放つ巨大メカ(鉄獣)と戦い、最後は科学忍法〈火の鳥〉で撃退

 メンバー5人やメカの変身には何の理由づけもない。それはともかく、こんな変身シーンをリアルな実写映像にするとなるとそれなりの予算が必要だ。でないと、東映の戦隊ものになってしまう。戦隊ものと変わらないのだったら何も往年の名作アニメ「科学忍者隊ガッチャマン」を実写映画化する意味がない。
 実際の人間が着たらちょっと恥ずかしいデザインの、あのコスチュームをどう処理するかという問題もある。

 タツノコプロ作品の映画化が企画されて、三池崇史監督がオファーされた。企画の中にはガッチャマンもあったが、きちんとした映画にするには巨額な制作費が必要だと、「ヤッターマン」を選んだという。正しい判断だと思った。

  「科学忍者隊ガッチャマン」はアクション+メカニック描写が肝となるTVアニメだったのだ。もし映画化するのであれば、この二つの要素は無視できない。無視したらガッチャマンではないのである。実写化となるとどれだけの制作費になるのか……。監督のSF、特撮センスも問われる。
 だから、三池監督の助言を聞いて製作は諦めればよかったのだ。あるいは実写化ではなくアニメ化にシフトするとか。

 ところが、製作委員会の幹事会社である日本テレビ(のプロデューサー)は映画化、それも実写化に固執した。となると、出資できる制作費にみあう内容にするしかない。そのため、社員ディレクターにメガホンをとらせた。社員ディレクターは社命に忠実だ。旬の若手俳優を揃えて恋愛ものに仕立て上げた。メカニックの要素はほとんど排除し、アクションもほんの飾りでしかない、フェイク映画を作ったというわけだ。

 最初から期待していなかったが、実写化に見合ったコスチュームのデザインと、予告編で見たゴッドフェニックのデザイン、主題歌に、少しは観られる作品になったのではないかと思ってしまった自分が恥ずかしい。




関連記事
スポンサーサイト
NEXT Entry
紙ふうせんベスト5
NEW Topics
「千里眼」「忠臣蔵コレクション4 列伝篇 上下」「のり平のパーッといきましょう」 ~ある日の夕景工房から
58
「朝霧」「墓地を見おろす家」「催眠」「蟲」「ファミリー」 ~ある日の夕景工房から
「論戦」『黒澤明 「一生一作」全三十作品』「鯛は頭から腐る」「読むJ-POP 1945-1999 私的全史」 ~ある日の夕景工房から
「死国」「黒い家」「天使の囀り」「バースディ」 ~ある日の夕景工房から
「世紀末、どくぜつテレビ」「江戸はネットワーク」「清張ミステリと昭和三十年代」 ~ある日の夕景工房から
「ジャーナリストの作法」「たかがテレビ されどテレビ」「藝人という生き方、そして死に方」 ~ある日の夕景工房から
「恋」「秘密」「ラザマタズの悲劇」 ~ある日の夕景工房から
「兄弟」「芸人失格」 ~ある日の夕景工房から
「少年H 上下」「ジュラシック・パーク」「塗仏の宴 宴の支度」「塗仏の宴 宴の始末」 ~ある日の夕景工房から
Comment
ベルクカッツェ編もお願い致します
おはようございます

出勤前に面白い記事を読ませて頂いてしまい、
後ろ髪惹かれる思いです。

私はベルクカッツェの生い立ちと屈折と、それでもついお笑い担当をになってしまったキャラが大好きでした。
あのキャラクターは両性具有からおかまちゃんキャラに通じるさきがけではなかったのかと思っているのですが。
ワンピースのミスターボンクレ―№2の面白さに通じます。
ベルクカッツェ的キャラって、あれ以前からあったのでしょうか?

続きはまたゆっくり読ませて頂きます(^^♪
mikaidou さん
返信が遅くなって申し訳ありません。
このところいろいろやることが多くて、帰宅してゆっくりPCを開くことができません。
ベルクカッツェ、回が続くほど、キャラクターの陰影が濃くなっていきました。好きでした。その最期は哀れで。

「ガッチャマンⅡ」は観ていましたか? メカのデザインが今一つでなおかつ敵方トップがカッツェの二番煎じでしたよねぇ。
Trackback
Comment form
 管理者にだけ表示を許可する
プロフィール

kei

Author:kei
新井啓介
ライターの・ようなもの
まぐまPB「夕景工房 小説と映画のあいだに」(studio zero/蒼天社)
「僕たちの赤い鳥ものがたり 1978-79」(文芸社)
神保町で働いています。

検索フォーム
ブロとも申請フォーム
QRコード
QRコード

Page Top