紙ふうせんFCでは会員に紙ふうせんベスト5の原稿を依頼している。私の順番が来て提出したのが以下の文章だ。
 自分で課したテーマは、「コンサート、ライブではほとんど披露されない隠れた名曲を出会った順に」。
 「ステージで披露される名曲」だと「紙風船」、「ささぶね」、「まつり」、「竹田の子守唄」、「いかつり唄」、「冬が来る前に」、「まつり」、「街を走りぬけて」あたりが思いつく。
 ちなみにこの5曲の中で「みんなで歌えるまえに」だけは一度も生で聴いたことがない。誰か歌ってないかとYouTubeを検索したら、某オヤジバンド+女性合唱団が、レコードと同じアレンジ(ほんと、そのまんま)で歌っているんですよね。感激しました。

 それから、「太地綾踊唄」の綾は〈きぬた〉と読む。綾踊(=きぬたおどり)なのである。もちろん歌詞に〈きぬた〉はでてくるのだが、LPの方では砧の文字があてられていなかったか? ですから、私、タイトルはずっと「ダイチアヤオドリウタ」と読んでいました。恥ずかしい。

          * * *

 「みんなで歌えるまえに」

 ファーストアルバム「またふたりになったね」のA面最初の「ささぶね」が紙ふうせんのテーマ曲だとすると、2曲めのこの歌は、赤い鳥から紙ふうせんになったおふたりの、ファンに向けたメッセージだと思っています。「船が帰ってくる」を初めて聴いたとき叫びました。「みんなで歌えるまえに」のアンサーソングじゃないか! 感激しました。どちらも後藤さんの作詞作曲。
 アルバム「またふたりになったね」には声高ではないメッセージがつまっています。名曲揃い。ほとんど後藤さんの手によるものですが、平山さんの「夜店のうた」も光っています。
 

 「木こりのわが子への歌」

 セカンドアルバム「愛と自由を」のB面最初のこの曲にガツンときました。平山さんの熱唱が心に響きます。2回目の「ミュージック・フェア」出演時に披露した「冬が来る前に」を聴いてシングルレコードにすればヒットするのにと勝手に思っていたのですが、この歌もそう。紙ふうせんが無理なら、歌唱力のある女性歌手がリリースしないかな、なんて。
 後年、クリスティーナとウーゴのオリジナルを聴くのですが、紙ふうせんバージョンの方が断然良いんですから。いや、オリジナルもいいんですけど、やはり慣れ親しんだアレンジ、平山さんのヴォーカルですから。オリジナルは男性の声が絡み、女性の語りも挿入されます。そんな歌を平山さんのソロでカバーにしたのは誰のアイディアなのでしょうか? ちょっとマカロニウエスタン調のアレンジが効果をあげていると思うのですが。


 「ONE MAN BAND」

 「Hobo's Lullaby」にインスパイアされたと思しき後藤さんのオリジナル。初の海外録音アルバム「Here With Me」に収録されていて、「紙風船」「まつり」とともに私のお気に入りの曲です。最初は英語詞なので、何も知らなければ洋楽?と勘違いする人もいるかもしれません。でもそこは後藤さん、中学生でもわかる単語ばかりで構成されていて、なおかつ情景が浮かんできます。
 「Hobo's Lullaby」を自身の訳詩で歌った「放浪者の子守唄」がそうだったように後藤さんのヴォーカルはアコースティックギターとの相性も抜群、心にしみいります。そして何より平山さんのハーモニー。後藤さんのヴォーカルには欠かせません。まるで雪の夜の暖炉のようだ。「街を走りぬけて」がそうだったように。


 「太地綾踊唄」

 伝承歌を特集したアルバム「リターン」に収録された1曲。「ONE MAN BAND」と対極のような後藤さんのヴォーカルはまさに漢! 紙ふうせんの伝承歌といえば「竹田の子守唄」「いかつり唄」「円山川舟唄」がポピュラーですが、個人的には赤い鳥時代の「もうっこ」とともに熱くさせてくれる1曲です。アレンジ次第でフォルクローレにもプログレにもなります。秋のリサイタルで初めて生で聴いたとき血が逆流しましたよ、ってちと大仰ですか。平山さん朗読の津村陽の小説とのコラボも印象的でした。
 ちなみに「リターン」に収録されている「円山川舟唄」は絶品ですよ。
 「リターン2」は夢のまた夢なんでしょうね。嗚呼。


 「青空と海」

 アルバムタイトルにもなっている、えひめ丸の犠牲者への鎮魂歌。「2001年アクエリアス」とともに平山さんのコンポーザーとしての資質がよく表れている1曲だと思っています。
 前奏がとてもヴィジュアル的で事故の模様が浮かび上がってきます。詞も平山さんですが、この歌の真骨頂は、鎮魂を言葉ではなく声(音楽用語で何て言うのかわからないのですが)で表現したところだと個人的には思っています。涙がでてきますから、本当に。
 ちなみにアルバム「青空と海」はジャケットも素敵です。胸キュンといいましょうか。CBSソニーの、通算4枚目のアルバム「フレンズ」を思い出しました。




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プロフィール

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Author:kei
新井啓介
ライターの・ようなもの
まぐまPB「夕景工房 小説と映画のあいだに」(studio zero/蒼天社)
「僕たちの赤い鳥ものがたり 1978-79」(文芸社)
神保町のブックカフェ二十世紀で働いています。さまざまなイベントを企画、開催していますので、興味あれば一度覗いてみてください。

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