承前

 上映終了後の懇親会でノアさんに紙ふうせんのリサイタルの件を伝えるとぜひ行きたいと。心配していたスケジュールもその日は空いていて早速手帳に書き込んでくれた。
 リサイタルにはもう一人、高崎在住のAを誘っている。小学校からの友人でフォーク全盛期の中学時代にはバンドを結成して、六文銭や岡林信康を盛んにコピーしていた。Aの家に遊びに行ったときに赤い鳥スタジオライブを聴かせてもらったことがある。エーメンコーラスのやりとりが印象的だったのを覚えている。

 二人を誘ったのには理由があった。もちろん、ノアさんを誘った一番の理由は紙ふうせんのステージングを生で観てもらいたいと思ったからだが、もし、翌日も予定がなければ、協力してもらえないかという下心があった。

 紙ふうせん結成40周年記念として、15年(年が明けたので正確には16年)ぶりに東京でコンサート「40周年記念リサイタル なつかしい未来」が開催されるのだが、もう一つ、関連で「赤い鳥・紙ふうせん/アマチュアコピーバンド大会 この指とまれ!」が企画されたのだ。
 この話を聞いたのは、昨年3月29日の夜。FC交流会の流れの席だった。翌日、帰宅してから、かつてのギター小僧たち、現在はオヤジバンド(あるいは個人)で活動しているみんなに電話してスケジュールの確保を依頼した。このときは観客として、赤い鳥や紙ふうせんの楽曲を大いに楽しみたいと考えていた。

 6月の東京交流会で桑原美由紀さんがこのライブに乗り気であるがわかった。
 桑原さんはプロの朗読家で、10年前、紙ふうせん30周年のときは、地元川口のライブ喫茶でファンによるファンのための記念イベント「紙ふうせんトリビュートライブ」を開催したときにはファーストアルバム「またふたりになったね」のライナーノーツを朗読してもらった。桑原さんとはずいぶん前から「竹田の子守唄」をモチーフにした朗読ライブを企画しているのだが、まだ実現していない。

 正式にコピーバンド大会がインフォされてからのこと。
 閃いた。
 桑原さんを「砂絵」の朗読で参加させよう! 
 赤い鳥のアルバム「祈り」の3曲めに収録されている「砂絵」は歌ではなく後藤悦治郎さんの朗読なのだ。バックはギター(by大村憲司)とパーカッション(カスタネット?)、スキャット(大川茂)。

  風に吹かれ
  ふるさとなくした砂たちは
  こよい集まる人の手の中に
  祭りの砂絵のひもになり
  指からおちてへびになる

 桑原さんに話すと了解してくれた。単なる朗読はつまらない。レコードと同じようにバックに演奏をつけようか。よし、ギターはAにお願いしよう。オレもカスタネットとスキャットで参加するゾ。どうせ参加するのだったら、「尺取虫」を歌おうか。「尺取虫」は「砂絵」に続いて「祈り」に収録された、後藤さんのヴォーカルによるコミックソングのような愉快な楽曲なのである。

  シャクトリムシが恋をした
  三日月さまに惚れちゃった
  熱い想いをうちあけに
  慣れた住家を後にした

 これをアコーディオンの伴奏で歌うっていうのはどうだ? ならアコーディオンをノアさんにお願いしてみようか。ノアさんと知り合ったのは某自主映画の音楽をノアさんが担当したからだ。その音楽ではノアさんがアコーディオンを弾いていた。

 この項続く




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Author:kei
新井啓介
ライターの・ようなもの
まぐまPB「夕景工房 小説と映画のあいだに」(studio zero/蒼天社)
「僕たちの赤い鳥ものがたり 1978-79」(文芸社)
神保町で働いています。

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