前々項より続く

 リドリー・スコット監督が「エイリアン」の続編を手掛けるらしい、との情報が入ってきたのはいつだったろうか。
 「エイリアン」「エイリアン2」とアプローチを変えたSF映画はどちらも大成功、大ヒットしたが、「エイリアン3」でその栄光が瓦解されてしまった気がする。
 「2」の否定から始まる「3」はどうしても許せない。プロデューサーを兼ねたシガニー・ウィーバーが、役のイメージが固定化することを恐れて、リプリーを殺すことだけに心血をそそいでいる感じがしてならないのだ。
 何度も書くが、「2」でリプリーが命を賭して守った少女はもちろん、唯一生き残った兵士も、上半身だけになったアンドロイドも冒頭で殺してしまうのだ。こんなこと許されるのか。そんなストーリーによくGOサインが出たものだ。
 だいたいリプリーは「エイリアン4」でクローン人間として復活するのだ。「3」で死ぬことはなかったじゃないか!

 自分の中では「3」はなかったことになっている(デヴィット・フィンチャー監督はいい仕事しているのだけれど)。
 その後、「エイリアン」シリーズは「プレデター」シリーズとドッキングして「エイリアンvsプレデター」シリーズが2作作られた。
 「エイリアン」シリーズのレビューではなかった。

 その後、リドリー・スコット監督が進めているプロジェクトは「エイリアン」の前日譚らしい、との情報が聞こえてきて、その後なしのつぶてとなった。

 2012年、SF超大作のふれこみで「プロメテウス」が公開された。「エイリアン」の前日譚として進められていた映画だと気づいたのは公開直前だった。そういう売り方(宣伝)をしていなかった。

 確かにヴィジュアルは素晴らしかった。が、褒められるのはヴィジュアルだけ。肝心のストーリー(ドラマ)が噴飯ものだった。公開時に言われたことは登場人物が皆バカだということ。どうにも信じられない行動ばかりとっているのだから仕方あるまい。
 異星人の子を宿したヒロインが、出産してから身体に全く異常が見られないというのはどうなのか。他の人はちょっと異星人の体液が身体に注入されただけで、とんでもない症状に見舞わられているというのに。展開がまったくもってご都合主義なのだ。
 「プロメテウス」はシナリオが全然練られていないことが歴然としていて、「エイリアン」を知っている者には情けない映画でしかなかった。まあ、続編が公開されたら劇場に足を運ぶけれど。

 リドリー・スコット監督を、スコット監督と書きたいところだが、できないわけがある。弟のトニー・スコットもハリウッドで活躍する映画監督だったからだ。だったと書くのがつらいが。
 デビュー作は吸血鬼ものの「ハンガー」(1983年)だが、トム・クルーズ主演の「トップ・ガン」(1986年)の大ヒットで一躍その名が知れ渡った。
 最近では、デンゼル・ワシントン主演の「デジャヴ」(2006年)、「アンストッパブル」(2010年)というアクション映画の快作を撮っている。後者については監督が誰かなんて意識していなかったのだが。
 兄弟で1つの作品を監督するシステム(というか、一種の流行り?)が海外にはある。コーエン兄弟、ウォシャウスキー兄弟(兄が性転換したので、今は姉弟)等々。スコット兄弟の場合、単独で活動しながらハリウッドの売れっ子になったこと、デビューしてから第一線で活躍していることが特筆できる。

 トニー・スコット自殺の報に驚いた。2012年8月のことである


 この項続く




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Author:kei
新井啓介
ライターの・ようなもの
まぐまPB「夕景工房 小説と映画のあいだに」(studio zero/蒼天社)
「僕たちの赤い鳥ものがたり 1978-79」(文芸社)
神保町で働いています。

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