承前

2015/02/20

 「わが青春の上方落語」(小佐田定雄/NHK出版新書)

 著者は落語作家(とプロフィールにある)。現在では上方落語の大御所となった6人の噺家さん(笑福亭鶴瓶、桂南光、桂文珍、桂ざこば、桂福團治、笑福亭仁鶴)のインタビュー集。入門当時の失敗談が愉快だ。

 僕が上方落語(なんて言葉は当時知らなかった。関西の落語)の噺家(なんていう言葉も当時は使わなかったが)として最初に認識したのは、笑福亭仁鶴だった。小学生のころだ。

 続いて、TBSで放送していた毎日放送「ヤングおー!おー!」のザ・パンダの面々。ザ・パンダとは売り出し中の若手落語家のユニットで、月亭八方、桂きん枝、桂文珍、林家小染の4人がメンバーだった。公開番組でステージに4人が登場すると客席がキャーキャー、キャーキャー、うるさいのなんの。漫才だと中田カウスボタン(のカウスの方)がアイドル歌手並みの人気を誇っていたっけ。小学5、6年、中学1年のころ。

 鶴瓶はアフロヘアとオーバーオールのジーンズ姿がトレードマークの落語をしない落語家として人気を博していた。その流れに明石家さんまがいる。現在、鶴瓶は噺家としての活動をしているが、さんまは完全にタレントになってしまって、落語家のイメージは全然ない。

 高校1年のとき、「傷だらけの天使」の後番組として「テレビ三面記事 ウィークエンダー」が始まって、リポーターの一人が桂朝丸だった。後の桂ざこばだ。朝丸が降板して登場したのが桂べかこ。後の桂南光。
 こうしてみると、本書で取り上げられている噺家さんのほとんど(桂福團治をのぞく)は、TVタレントとして顔を覚えたのだった。落語も聴いた(TVで観た)こともない。文珍はあるか。朝丸とさこばは名前を変えてから高座に精進したのだろうし、鶴瓶も本格的に落語に取り組んだのは、「六人の会」のメンバーになってからのことだと思う。

 フォークグループ・赤い鳥が結成された「赤い屋根の家コンサート」では、第1部が落語会、第2部がライブという内容だった。赤い屋根の家とは武庫之荘の文化会館のこと。疑問だったのは、このコンサートの主催者である後藤悦治郎さんと第1部出演の若手噺家との交流のきっかけだ。噺家さんたちに出演を依頼したのは後藤さんだと思うが、どうやって知り合ったのだろうか。

 本書を読んでいて氷解した。桂米朝が住まいが武庫之荘だったのだ。弟子入りした桂南光、桂ざこばは、まず師匠の家に住み込む。後藤さんの家も同じ町内だから何らかのつながりがあって、集客のために、出演してもらったのだろう。同じ町内に住む大村崑の奥さんがやはりシャンソンで出演しているのだから、十分考えられる。

 ざこば、南光の修行中の話に、フォークグループとの共演の思い出がでてくるのではないかと、ちょっと期待していたが、残念ながらそれはなかった。


2015/02/24

 「高橋英樹のおもしろ日本史」(高橋英樹/ベストセラーズ)

 日本史初心者には実に手ごろなまたよくわかる参考書である。読みやすい。著者が出演した時代劇と結びつけて語っているところがミソ。時代劇が観たくなる。


2015/02/25

 「本当はこんな歌」(町田智浩/アスキー・メディアワークス)

 よく耳にする洋楽の詞はこんな意味があった……と日本語訳とともに解説した本。最近この手の本が多くないか。取り上げられた曲のほとんどが知らないもの。それだけ、最近の曲が多いということだろう。
 原詩を掲載するには著作権料がかかるが日本語訳だけだと必要ないとあった。そうなのか! だったら海外小説を自分で訳して出版しても金はかからないのだろうか。そんなわけないって。


2015/02/27

 「談四楼がやってきた ~立川流の最終兵器」(音楽出版社)

 マニアックなムックだ。隔月開催される下北沢の独演会常連者の教科書といってもいいのでは?


2015/02/28

 「太郎が恋をする頃までには…」(栗原美和子/幻冬舎)

 「部落差別をこえて」で猿回し師の村崎太郎が取材されていたので関連の書籍を読んでみることにした。
 80年代に猿回し芸を復活させ、猿の「反省」ポーズで大人気になったのは記憶に新しい。人気が一段落して(日光猿軍団というライバルが現れたりして)メディアであまり見かけなくなった。

 00年代になってから本書が出版された。奥さんがふたりの出会いから結婚に至るまでを小説という形で書いたと。それで村崎太郎がフジテレビプロデューサーと結婚したこと、被差別部落出身であることを知った。本書でカミングアウトしたのである。出版されたときは、猿回し師とテレビプロデューサーというミスマッチな関係や出自のカミングアウト等、かなり話題になったと記憶する。が、個人的には冷めた気分だった。いつもの幻冬舎商法だろうと反発して読むことはなかった。

 単行本の表紙はふたりの結婚写真。新婦はウエディングドレスで新郎は猿回しのときの仕事着(人力車の車夫が着るものに似ているか?)。私小説と喧伝されていたので、登場人物は一部仮名があるかもしれないもののふたり自身だと予測していた。
 が、主人公は元TVキャスターで現在は系列の新聞社に出向して記者をしている設定になっている。なぜTVプロデューサーではいけないのか。取材で出会う猿回し師の名前は「ハジメ」。書名に太郎とあったので、これまたしっくりこない(途中でハジメの本名が太郎だとわかる)。
 読んでいて嘘っぽくて仕方なかった。

 この主人公が最初は嫌な女なのだ。僕は蓮舫をイメージしながら読んでいた。最初の出会いのときのハジメの怒りなどよく理解できる。
 読み始めはいろいろと難癖をつけていたが、途中から夢中になっていった。
 
 被差別部落の成り立つを考えると、差別には本当に〈いわれ〉がないのである。単純に江戸時代の幕府の政策でしかなかった。根拠がない。明治時代になったのを堺に絶ち切ればならなかった。
 にもかかわらず、概念だけが残り、人は概念に縛られ判断をくだす。その地域に生まれた者は特殊なレッテルを貼られてしまう。職業が限定されてしまう。貧しい暮らし。子どもは、自分の家庭の、地域の特殊さを学校で気づく。
「××ちゃんちに遊びに行っちゃダメって(親から)言われた」
 そうクラスの友だちに言われたら、つらい、傷つく。
 自分に照らし合わせると胸が痛くなる。

 差別は今もなくなっていない。問題は解決していないのだ。
 だから、現実と変えて、ラストをアンハッピーにしたのだと思う。方策としてわからなくはない。
 でも、それって嘘でないか。
 そういった問題を乗り越えてふたりは結婚したのではなかったのか? だからこその表紙の写真なのではないか? 
 結婚するまでには、著者側の両親や兄弟との間にいろいろ問題があっただろう。その問題を解決しての、あるいは解決せずの結婚だったに違いない。その詳細を書くべきだったのではないか。




関連記事
スポンサーサイト
NEXT Entry
「紙ふうせん 40周年記念リサイタル ~なつかしい未来~」
NEW Topics
告知ページ
 「グリーンマイル」 ~映画を観て原作をあたる
 「雨あがる」「ボイスレター」 「スペーストラベラーズ」「ケイゾク/映画 Beautiful Dreamer」 「DEAD OR ALIVE 犯罪者」 ~ある日の夕景工房から
「シュリ」「海の上のピアニスト」「新選組」「ストーリー・オブ・ラブ」 ~ある日の夕景工房から
「天国と地獄」「どん底」 ~ある日の夕景工房から
「赤ひげ」「御法度」 ~ある日の夕景工房から
「ワイルド・ワイルド・ウエスト」「リトル・ヴォイス」「黒い家」 ~ある日の夕景工房から
1分間スピーチ #19 マスコミの悪意について
「双生児 ~GEMINI~」「秘密」「皆月」 ~ある日の夕景工房から
NHK「ファミリーヒストリー」は8月18日(金)に放送されます!
Comment
No title
「落語」はTVでみる笑点以外、見に行く事もありません。
というよりも周りでも話題に上がらない、そんな感じです こちらは・・・ 
そういえば歌丸さん円楽さんの二人会が昨年あったような記憶です。談四楼さんはTV番組「ビフォアー アフター」の談志さんの家を改造する時に知った次第です。今度札幌で公演があるようですが。keiさんのコメントで
落語のことを教えていただいているだけですね、そうそう ザ・パンダありましたね小染さんが好きなキャラクターでした~
ジンギスカン さん
「笑点」は大喜利で落語ではありません(笑)。
談四楼さん、「ビフォアー アフター」に出ていましたか? 志らくさんではなく。札幌で談四楼さんの独演会があるのですか?
落語は一度、生で観ておいた方がいいですよ。
Trackback
Comment form
 管理者にだけ表示を許可する
プロフィール

kei

Author:kei
新井啓介
ライターの・ようなもの
まぐまPB「夕景工房 小説と映画のあいだに」(studio zero/蒼天社)
「僕たちの赤い鳥ものがたり 1978-79」(文芸社)
神保町で働いています。

検索フォーム
ブロとも申請フォーム
QRコード
QRコード

Page Top