東宝でゴジラの新作を製作とのニュースが流れたときは、その真意がはかりかねた。
 ローランド・エメリッヒ監督版「GODZILLA」公開のあと、東宝はゴジラの新作に着手したが、その理由ははっきりしていた。エメリッヒ版「GODZILLA」の評判が極端に悪かったためだ。映画のラストはいかにも続編がありそうな作りだったが、結局見送られた。

 しかし、ギャレス・エドワーズ監督版「GODZILLA」公開直後では話は違ってくる。日本国内では賛否両論だったとはいえ、世界的には大ヒットを記録し、早々に続編製作も決定しているのだ。
 ゴジラはハリウッドで莫大な興行収益を狙えるキャラクターになってしまった。キャラクターを貸すだけで東宝には金が入ってくるのである。どこに東宝がつけ入る隙があるというのだろうか。いくら巨額な製作費を投入といっても、日本映画ではたかが知れている。一番の売りであるヴィジュアル(特撮)では雲泥の差ができてしまう。

 まあ、エドワーズ版「GODZILLA」は東宝チャンピオンまつり版ゴジラをハリウッドでリメイクしたものと思えなくもないから、もし東宝が製作するのなら、第1作を意識した非常に重厚でシリアスな内容にすれば、対抗できるかもしれない。とにかくシナリオに知恵を絞らなければなるまい。

 監督は誰になるのか? 下馬評では山崎貴か樋口真嗣のどちらかだと噂されていた。東宝のことだから会社への貢献度がものをいう。だったら「永遠の0」「STAND BY ME ドラえもん」「寄生獣」と立て続けに大ヒットを放っている山崎監督になるのではと勝手に想像していた。「ALWAYS 続・三丁目の夕日」の冒頭では、オールCGでゴジラの東京タワー破壊を描いていたことだし。

 1日、ネットニュースに、脚本・総監督に庵野秀明、監督に樋口真嗣が決まったとあった。樋口監督の「進撃の巨人」の公開はこれからだが、たぶん特撮の出来が良いのであろう。

 樋口真嗣の起用が庵野秀明とセットになって発表されたことが興味深い。樋口監督の画作りには非凡なものがあって、他の追随を許さないが、ドラマ作りとなると、目を覆いたくなるほどの出来になってしまう。「ローレライ」「日本沈没」「隠し砦の三悪人THE LAST PRINCESS」と劇場に足を運んでの率直な感想である。
 特技監督としては優秀ではあるものの、監督としての技量は?というのが、関係者の評価なのではあるまいか。

 「のぼうの城」は犬童一心との共同監督であるが、会社(プロデューサー)が樋口監督に求めたのは特技監督の腕だったのではないかと推察している。「進撃の巨人」実写映画化が発表されたときは、樋口監督とともにシナリオに町山智浩が指名されている(渡辺雄介と共同)。このとき樋口監督のお目付役のような印象を受けたのだが、今回のシナリオ・総監督庵野秀明にも同様な役割が感じられるのである。

 とにかく、怪獣映画への造詣、技術を考慮すれば、このコンビが新作ゴジラの指揮をとることは納得できる。実をいうと「日本沈没」のレビューで樋口監督が新作ゴジラの監督をやることを予測していたのである。
 本音をいうと、金子修介監督とコンビを組んでもらいたい(シナリオは伊藤和典!)のだが、それは無理というものだろう。

     ▽
 【蛇足&推測】

 内容はともかく、「ローレライ」「日本沈没」とVFXをメインとした大作映画をヒットさせた樋口監督はヒットメーカーとして、業界内で引く手あまたになるのだろう。両作とも東宝系ということもあって、近い将来ゴジラの復活が発表された際には監督にオファーされること間違いない?

 VFXといえば、ハリウッドばりの映像をものにするのが山崎貴監督。2作目の「リターナー」のあまりの学生自主映画のノリに怒り心頭だったが、3作目「ALWAYS 三丁目の夕日」で数々の映画賞を受賞した。ということは樋口監督も3作目に期待すべきなのだろうか。山崎監督とは逆にオリジナルで勝負したら……。
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 不安なのは、エドワーズ監督版「GODZILLA」以上の、巨大なゴジラだという書き込み。怪獣は巨大だからいいというものでもないのだが。

 新作ゴジラは来年(16年)夏の公開だという。

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私は、いかにして樋口真嗣監督作品のヴィジュアルに興奮しながらもドラマ作りに辟易してしまったのか?
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Author:kei
新井啓介
ライターの・ようなもの
まぐまPB「夕景工房 小説と映画のあいだに」(studio zero/蒼天社)
「僕たちの赤い鳥ものがたり 1978-79」(文芸社)
神保町で働いています。

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