2015/04/04

 「ジュピター」(MOVIX川口)

 この映画、予告編のときからそれほど面白そうに思えなかった。ヒロインの像がアップになったショットでとんでもなくチープな印象を受けたのだ。
 「マトリックス」から16年云々のキャッチコピーが大仰で仕方なかった。「マトリックス」以来のオリジナルストーリーということだったのか。てっきり「マトリックス」以来映像的に新たな金字塔が打ち立てられたという意味かと思っていた。

 ウォシャウスキー兄弟の映画を予告編で観て面白くなさそうと思った映画に「スピードレーサー」がある。「スピードレーサー」はタツノコプロの「マッハGoGoGo」がアメリカで放映されたときのタイトル。
 ウォシャウスキー兄弟がマッハ号を実写化というニュースを見たときは興奮ものだったが、予告編の映像で萎えた。いかにもアニメ作品を実写にしたような、人工的な空間設計なのである。主人公の衣装もメカにも何の魅力も感じない。「攻殻機動隊」に影響を受けて「マトリックス」を作った監督の作品には思えなかった。アニメ「マッハGoGoGo」の実写化に往年のファンは何を求めるのか、ウォシャウスキー兄弟は全然わかっていないと憤慨したものだ。

 配給会社にも文句がある、この映画をなぜ原題のまま公開したのか、なぜ、「マッハGoGoGo」という日本人に親しまれたタイトルにしなかったのか!
 「スピードレーサー」は昨年やっとDVDで観た。すべて早回しした。そんな出来だった。

 「クラウド・アトラス」が公開されたときは、劇場で押えようと思ったものの、結局叶わなかった。体調が芳しくなかったところに、複雑なストーリーは1回観ただけだと意味がわからないなんていう感想をどこからか仕入れてきたからだが、DVDで観て後悔した。十分面白いではないか。ハル・ベリーとペ・ドゥナの七変化を堪能できただけでも幸せというものだ。

 「クラウド・アトラス」から、ウォシャウスキー姉弟になっていた。「スピードレーサー」後に兄が性転換して女になってしまったからだ。また、映画はウォシャウスキー姉弟とトム・ティクヴァの共同監督だと知った。

 新作映画が面白くなさそうでも、ウォシャウスキー姉弟のSF作品なのでむげにはできない。
 で、公開早々地元シネコンに足を運んだわけだが――。

 自分のアンテナの正しさを確認できた。確かにVFX映像は素晴らしいものの(たとえ既視感ありありだとしても)ワクワク感は皆無に等しい。何度も眠気に誘われた。特に宇宙空間におけるメカの戦いには何も感じなくなってしまった。個人的に完全に飽きている。

 案の定、タニング・テイタムとミラ・クニスに魅力がない。予告編でときめかなかったはずである。まったくもってミスキャスト。
 出世作「マトリックス」も2作め、3作めとストーリー的にはつまらなくなっていくのだが、それでもヒロインのキャリー=アン・モスのアクション目当てというところがあったのでそれなりに満足していた。
ストーリーがちっとも面白くない。
 「博士と彼女のセオリー」を観ていたら、もう少し楽しめたかもしれない。悪役がアカデミー主演男優賞を獲ったエディ・レッドメインなので、まったく違う役柄(演技)を楽しめたかも。ペ・ドゥナも出演していたが、別に誰でもいいような役だった。

 ちなみに、映画の原題は「Jupiter Ascending」。上昇する木星の意。ジュピターはヒロインの名前でもあるので覚醒するジュピターと訳すとわかりやすいかも。




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Author:kei
新井啓介
ライターの・ようなもの
まぐまPB「夕景工房 小説と映画のあいだに」(studio zero/蒼天社)
「僕たちの赤い鳥ものがたり 1978-79」(文芸社)
神保町で働いています。

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