2015/03/28

 「イミテーション・ゲーム エニグマと天才数学者の秘密」(MOVIXさいたま)

 動くベネディクト・カンバーバッチを初めて観た。
 この俳優の名前を知ったのは「スタートレック イントゥ・ダークネス」だったと思う。子どものとき「宇宙大作戦」は毎週の愉しみだったが、ロバート・ワイズ監督の超大作という触れ込みの映画化作品「スタートレック」に裏切られてからというもの相性が悪くなって、以降のシリーズも観なくなってしまった。当然その後のTVや映画の新シリーズもノーチェックで、劇場ではもちろんのことDVDになっても観賞していない。
 NHKで放送しているイギリスのドラマ「シャーロック」の評判がいいがこれまた観たことがない。

 映画は第二次世界大戦中ドイツ軍の暗号を解明するために奮闘努力する天才数学者、アラン・チューリングとその仲間たちの活躍を描くものとばかり思っていた。そんな安易な英雄譚ではなかった。
 3つの時代におけるチューリングのドラマが複雑に絡み合う。

 ①冒頭の時代は1951年。チューリングの屋敷に泥棒が入り、警察官が駆けつけるのだが、当のチューリングはつれない態度。警察官はチューリングが何かを隠していると捜査を開始する。
 ②チューリングが回想するのが1927年の寄宿学校時代。同級生からいじめを受けるが、一人仲良くしてくれる友人がいて、彼とのつきあいの中で暗号に興味を持っていく。
 ③第二次世界大戦時、軍の要請を受けてチューニングたちは、チームを組んでナチスの暗号機エニグマの解読に挑むが、協調性のないチューニングはチームから浮きまくりながら、暗号解読装置の開発に没頭する。

 ①で警察はチューリングが隠蔽している秘密を追い始める。そして、それは②でおぼろげながらわかってきて、③で判明する。サブタイトルの〈エニグマと天才数学者の秘密〉の秘密とはこのことだったのか。

 映画の題材になる数学者(それも実在の人物)は変人というのがお約束なのだろうか、「ビューティフル・マインド」のジョン・F・ナッシュがそうだったように、アラン・チューリングも普通の感覚からかけ離れている。
 チューリングにとって、言葉には一つの意味しかない。人の言葉を額面通りにしか受け取れないし、そのものずばりの物言いしかできない。それは、本人も自覚している。そんなチューリングが親友を救うため自分の意思と反対のことを言うくだりがあって、けっこうグッとくる。
 親友の忠告に素直に聞き、態度を改めようとする姿も微笑ましい。
 男女間にも友情が存在することを確信できた。これは目から鱗だった……。

 映画は字幕で終わる。「アメリカン・スナイパー」に比べると、かなり長い文章になるが、目頭が熱くなるエンディングだった。

 ベネディクト・カンバーバッチの天才数学者に堪能した。


 【追記】

 ①のエピソードだったか、台詞に「花粉症」がでてきた。あの時代に花粉症なんて言葉があったのだろうか? アレルギー性鼻炎という名称を長い間使っていたと思うが。




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転載:「うたあふれるままに 紙ふうせん コンサート2002」
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新井啓介
ライターの・ようなもの
まぐまPB「夕景工房 小説と映画のあいだに」(studio zero/蒼天社)
「僕たちの赤い鳥ものがたり 1978-79」(文芸社)
神保町のブックカフェ二十世紀で働いています。さまざまなイベントを企画、開催していますので、興味あれば一度覗いてみてください。

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