円谷プロとWOWOWが組んで21世紀のウルトラQ、「ネオ・ウルトラQ」を製作、放送するというニュースに対してかなりの期待感があった。「ウルトラQ」のセカンドシーズンと銘打っているのに、1クール12話だけというのが物足りなかったが。

 参加している4人の監督の中に石井岳龍(旧名:聰亙)の名前があって少々不思議だった。いわゆる特撮怪獣ものというジャンルには程遠いところで活躍してきた監督だからだ。
 平成ウルトラマンシリーズ(ティガ、ダイナ、ガイア)で活躍したスタッフが一人もいない。小中兄弟あたりがいてもおかしくないのに。特撮怪獣映画の自主映画で名前を知られプロになった田口清隆の存在に期待が持てた。

 WOWOW は契約していないので、本放送は視聴できなかった。
 TOHOシネマズ日劇のレイトショーで「総天然色 ウルトラQ」とカップリングで定期的に(毎月9の日)特別上映されると知って、通おうかとも考えたが、体調がすぐれないときでもあり、結局1回も足を運ばなかった。

 今回、円谷劇場が1時間に拡張され、最初の30分が「ウルトラQ」、後の30分が「ネオ・ウルトラQ」が放送されると知って喜んだ次第。

 第1話「クォ・ヴァディス」
 第2話「洗濯の日」
 第3話「宇宙(そら)から来たビジネスマン」
 第4話「パンドラの穴」
 第5話「言葉のない街」
 第6話「もっとも臭い島」
 第7話「鉄の貝」
 第8話「思い出は惑星(ほし)を越えて」
 第9話「東京プロトコル」
 第10話「ファルマガンとミチル」
 第11話「アルゴス・デモクラシー」
 第12話「ホミニス・ディグニターティ」

 第1話「クォ・ヴァディス」を観たときは、「ウルトラQ dark fantasy」よりウルトラQらしいと思った。今風の怪獣描写だと感じた。第2話「洗濯の日」の、旧作「カネゴンの繭」(商店街を等身大怪獣が子どもたちと歩く)、「地底超特急西へ」(のシュールなラスト)のテイストを狙った作劇もまあ悪くない。
 が、第3話以降がちっとも面白くない。別に怪獣が登場しなくても、特撮がメインにならなくてもいい。SFドラマとして楽しめれば御の字だと思っているのに、ストーリーがはずまない。これって、シナリオが弱いということだろう。

 たとえば、第3話の「宇宙(そら)から来たビジネスマン」なんて、どんな展開になるのか途中まで興味深かったにもかかわらず、後半何のひねりもなくそのままラストになってしまってがっかり。
(関係ないが、宇宙を〈そら〉と読ませる感覚にうんざりする。第8話でも惑星を〈ほし〉としているし。J-POPの悪しき影響か。)

 この時間(日曜の深夜24時~25時)、布団に入って寝ながらの視聴している。「ウルトラQ」は大丈夫なのに、「ネオ・ウルトラQ」になると、睡魔との戦いになる。後半意識がなくなって、気がつくと、もう終わっていたなんてことが何回もあった。
 というわけで、感想を書くために録画を観なおした。

 トータルの印象からすると「ウルトラQ dark fantasy」の方が良かった。話数が多いこともあるが、バラエティに富んでいたと思う。
 旧作「ウルトラQ」はSFアンソロジーの楽しさがあった。それは複数のシナリオライター、監督が参加しているからこそ成り立つものだ。
 「ウルトラQ dark fantasy」はその要素を踏襲していた。「ネオ・ウルトラQ」は一人のライターが全話を担当していて(3、6、7、9、10話は女性ライターと共同だが)、そこにドラマが弾けなかった要因があるのではないか。
 1人のシナリオライター+複数の演出家というのは連続ドラマの体制である(平成の仮面ライダーでは一人のライターが1年間担当したなんて驚異的な現象が見られたが)。

 特撮がメインとなるエピソードはほとんど田口監督が担当されていた。リアリティにあふれ、またインパクトもあって印象深い。
 「もっとも臭い島」は「マタンゴ」にインスパイアされたとおぼしき内容。ホラーテイストをコメディーに逆転させてはいるけれど、ラストなんてそのまんまで。

 「東京プロトコル」は、そんなビジュアルインパクトに現代日本を風刺したドラマがうまく融合したエピソードだった。
 〈東京プロトコル〉とは、東京で行われた地球サミットにおいて「温室効果ガスの削減」が議論された際に確定した削減目標を記載した議定書のこと。
 重いノルマが課せられた日本は、達成のため、一定基準を超えると有無と言わさず電力供給が停止される処置が施された。その厳格さは計画停電の比ではない。日本経済は停滞し、町工場は閉鎖一歩手前まで追い込まれる始末。本エピソードの主人公はこの町工場を営む父親と息子(小学生)だ(レギュラー3人の登場はなし)。

 失業者が増加しどうにもならなくなってきた、そんなある日のこと。工場の煙突に奇妙な生物がへばりつく現象がみられた。風船のような形をしたその巨大生物は排出されるガスをすべて吸収してしまうことが判明する。生物は増殖していき、日本全国、二酸化炭素等のガスが排出される施設にはすべてその生物がとりついた。その結果、日本はガスの排出を気にすることなく経済活動にいそしむことが可能になったのだ。
 日経平均は50,000円を超え、政府は国民一人当たり10万円の支給を決めた。町工場も受注が殺到して景気がいい。あのバブル経済がまたやってきたのである。

 ある日、日本全国で見慣れた光景になっていた風船怪獣(プラーナと命名)が黒色に変色しはじめた。何かが起こる気配なのだが、好景気に受かれる大人たちはただ見守るだけ。やがて、プラーナは大爆発して、日本は廃墟となって……しまうことはなく、巨大な花が咲いただけ。火花を飛ばしながら。
 抑揚のない声で人々の「万歳三唱」が響いて「終」。

 経済発展のためには原発に頼らざるをえない日本を戯画化しているのだが、原発の暗喩としての怪獣描写が面白い。予想を覆すシニカルなラストに苦笑した。怪獣の形体やエネルギー問題を扱ったストーリーから、旧作の「バルンガ」を彷彿とさせる。意識したかどうか知らなけれど。
 このようなエピソードがあと2、3本あれば……。

 映像は凝っていた。モノクロ映像に着色した「総天然色 ウルトラQ」に対して、通常のカラー映像を脱色したような感じ。いわゆる銀残し風の画像が良い。
 まあ、映像が見栄えするのは今のドラマ全般にいえることだからあまり褒め言葉にはなっていない。とにかくシナリオの弱さだ。いかんともしがたい。

 今回、見直してみて気がついたことがある
 「ネオ・ウルトラQ」の時代設定はいつなのか?
 
 


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Author:kei
新井啓介
ライターの・ようなもの
まぐまPB「夕景工房 小説と映画のあいだに」(studio zero/蒼天社)
「僕たちの赤い鳥ものがたり 1978-79」(文芸社)
神保町で働いています。

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