2015/05/03

 「町屋駅上寄席 桂宮路vs立川寸志 熱闘!他流試合二人会」(ムーブ町屋 3Fムーブホール)

 深夜、TVのチャンネルを替えていたら、ある番組に吉笑さんが出演していて思わず画面に顔を近づけてしまった。大喜利をやっていて、回答者メンバーには春吾(前座時代は春太)さんもいる。立川流の二つ目が二人もTVに出演しているのが珍しかった。

 番組は「噺家が闇夜にコソコソ」というもので、大喜利は後半のコーナーだった。司会が今田耕司と檀蜜と立川談春。前半には何人かの真打が持ち回りで自身が取材した事柄を落語風に発表するというコーナーがあって、その一人が立川談笑。大喜利メンバーに吉笑さんや春吾さんがいる理由がわかった。

 さんづけしたりしなかったり。
 吉笑さんも春吾さんも前座時代に何度も高座を観ているし、話もしているので吉笑、春吾とはできませんよ。本当なら、談春師匠、談笑師匠としたいのだが、そうすると、今田耕司さん、檀蜜さんでなければバランスがとれない。だったら2人を有名芸能人として括って敬称略にしてしまえばよいと考えた次第で。
 って、長々言い訳してどうする。

 閑話休題。
 大喜利メンバーにはもう一人「どうして真打が混じっているの?」と思える噺家さんがいた。どうみても吉笑さんや春吾さんたちより年齢が上だもの。桂宮路さんだった。にぎやかオーラを発散しまくっていた。

 昨年12月、約3年ぶりに落語会に足を運んだ。上野広小路亭の立川流夜席。受付していたのが寸志さんだった。二つ目昇進が決まっていて、確か昇進披露チケットは完売だったと思う。あとで知ることになるのだが、この日が前座最後の受付だったとか。

 ネットでGWに「桂宮路vs立川寸志」なる二人会があることを知った。場所はムーブ町屋。4月の談四楼独演会で寸志さんの二つ目披露高座があったのだが、時間の関係で終わりの方しか見られなかった。欲求不満がつのった。二つ目の寸志さんの芸を確認したい! ついでに宮路さんの高座もこの目で拝見したい!


  三遊亭けん玉 「狸札」
  立川寸志   「金明竹」
  桂宮治    「おばけ長屋」

   〈仲入り〉 

  口上 兼 トークバトル

  桂宮治    「弥次郎」
  立川寸志   「景清」


 開口一番のけん玉さんは、会が始まる前から受付近辺でかいがいしく動き回っていた。いや、顔なんて知らなかった(名前だけは目にしていた)のだが、着物姿で動いていれば、それがこの会の主役の2人でなければ前座さんだろうとの予想はつく。
 元気が良い。声がよくとおる。会話の間の取り方が一種独特で笑いに転化させていた。

 寸志さん堂々としていてなおかつ噺はこれなれていて二つ目というより真打って感じ。
 「金明竹」では関西弁の早口が出るたびに拍手が起こった。この日、「寿限無」や「たらちね」でも同じ現象になったのだろうか。「金明竹」は愉快な噺だけどこんなに笑わせられるものだったのかと思わずにはいられなかった。工夫の賜物だろう。ぼけとつっこみを意識した関西人キャラクターがいい。

 寸志さん以上に会場を爆笑の渦にしたのが宮路さん。年齢は寸志さんより下だったのか。「おばけ長屋」ではすっかり世界に引き込まれた。ずっと表情を見つめていたらゴルゴ松本が落語をしている感覚に陥った。
 一番笑ったのはサゲかも。肝心のところで噛んでしまっての捨て台詞がふるっていたので。
 熱演でかなり時間がオーバーしたのかもしれない。いや、最初からその予定だったか。次は3分で終らせるからと宣言したのである。
 本当にあっというまに終らせて(「弥次郎」だからね)、右手で左腕を叩きながら下がる姿がかっこよかったなあ。

 時間たっぷりもらった寸志さんは「景清」。もしかしたら初めて聴く噺かも。いや、一度はあるか。
「さすが、談四楼師匠の弟子ですよね」
 とは、目の前に座っていた、落語レビュー界の津田寛治こと、Sさんの言葉。




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転載:「紙ふうせんリサイタル2006 なつかしい未来」
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Author:kei
新井啓介
ライターの・ようなもの
まぐまPB「夕景工房 小説と映画のあいだに」(studio zero/蒼天社)
「僕たちの赤い鳥ものがたり 1978-79」(文芸社)
神保町で働いています。

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