昨日(21日)はシネりんだった。篠原哲雄監督が新作「種まく旅人 くにうみの郷」をひっさげて登場した。二井さんが聞き役だからだろうか、篠原監督は饒舌だった。
 海苔とタマネギを作る兄弟とエリート農林水産庁官僚の女性の物語。料理のディティール描写には定評がある監督だから海苔やたまねぎがどんな風にスクリーンに登場するかとても楽しみ。
 30日ロードショーです。

 本日(22日)は池袋・ジュンク堂書店で切通さんと小中(千昭)さんのトークショーがあった。今朝知ってあわてて申し込んだ。
 もっと前から知っていたら本を持参したのに。「少年宇宙人 平成ウルトラマン監督原田昌樹と映像の職人たち」も買ったのだ。まだ読んでいないけれど。

 以下は4月の読書録「本多猪四郎 無冠の巨匠」で少し話題にした「地球はウルトラマンの星」のレビュー。

     ◇

 「地球はウルトラマンの星」(切通理作/ソニー・マガジンズ)

 本書が出版されることを知ったのは昨年(1999年)の2月、新宿ロフトプラスワンの会場だった。
 平成ウルトラマンのスタッフ・キャスト、関係者をゲストに呼んで、繰り広げられたトークショーの席で本人自ら、「ウルトラマンティガ」と「ウルトマンダイナ」の研究書を夏頃発売すると語っていたのだ。
 最近、よほど興味のある(あるいは資料的価値のある)特撮本以外は購入しないことにしているのだけれど、これは聞いたとたん「買いだ!」と思った。

 「ウルトラマンティガ」を特集した「COMIC BOX」が非常によくできていたし(たぶん著者を中心に執筆、編集されたのだと思う)、何より「怪獣使いと少年」を書いた気鋭の評論家が平成ウルトラマンシリーズをどう分析するか、その切り口、語り口は大いに期待できた。
 ところが発売予定の8月、9月になっても店頭に並ぶ気配がない。本についての何の情報も入ってこないし、実際発売されるのかどうかもわからない。
 版元予定だったフュージョンプロダクトが何かと揉めている最中だったので、そのあおりを受けて発売そのものがウヤムヤになってしまうのか、心配したものだ。 (関係ないけど、ずいぶん前に本多猪四郎の評伝を書くと言っていたがどうなったのだろう)

 今年(00年)3月末にやっと発売になったわけで、なるほどこのボリューム、内容の濃さならばなかなか完成しなかったはずである。
 本書はティガ、ダイナはもちろんガイアも含めた平成ウルトラマンシリーズ3部作の研究書になっていて、主要スタッフ36人へのインタビューで構成されている。(版元もソニー・マガジンズに変更になっていた。)

 グループの共同体制のよる作業ではなく、基本的には一人で各スタッフにインタビューをし、それを単に対談という形で活字化するのでなく、著者自身で咀嚼して原稿化するというまことに気の遠くなるような手順を踏む、まさに労作と言える一冊だ。
 表紙から裏表紙まで神経が行き届いていてうれしくなる。この感動は初めて第一期ウルトラシリーズを取り上げたファンタスティックコレクションを手にした時によく似ていた。
 こういう本を待ち望んでいたのだ。

 通常より小さい活字、おまけに2段組で450弱のページ数という圧倒的なボリュームながら、興味深い話が次々にでてくるから、読むのに苦労しなかった。

 冒頭の「総論 ウルトラマン復活の道程」は僕自身の作品に対する気持ちの代弁とも言えるもので、何度か目頭が熱くなった。
 インターネットを閲覧するようになってわかったことは、(予想していたとはいえ)視聴者(ファン)側にはウルトラマンに対してさまざま見方、感じ方、意見があるということだった。世代の差というのも大いに関係しているのかもしれない。僕がそれほどと思えないエピソードが絶賛されたり、逆に面白いと感じたものがあまり評価されていなかったりと、まさに十人十色。

 ファンがそうなのだから、かつてのファンから製作側に転じたスタッフにしてもウルトラマンへのこだわりが各人それぞれなのは当然と言えるかもしれない。
 だからこそ、バラエティあふれるエピソードで成り立つシリーズができるのだろう。ウルトラ(マン)シリーズの魅力の一つだ。

 いいとか悪いとかの問題ではなく、誰が自分の感性に近いか(ということは、自分にとって誰が面白い作品を作ってくれるか)ということを確かめるのに最適な本という側面もある。
 個人的には作品自体に非常に共感を覚えた監督の川崎郷太、北浦嗣巳、脚本家の長谷川圭一、太田愛、特技監督の満留浩昌の言葉に注目した。

 特にウルトラに関するインタビューはこれが最後になるだろう川崎監督のへのインタビューが貴重だった。過去のウルトラに対しての造詣の深さにかかわらず、マニアックに走るのでなく、ある部分冷めた目を持っているので、内容的にも、映像的にも非常に印象深い作品を撮っている。本人がウルトラを卒業すると宣言しているので、今後のシリーズでの活躍がないのは残念。

 が、映画ファン、映像ファンの僕としては川崎監督のウルトラ以外での今後の活躍を信じている。ぜひとも川崎監督にはティガ、ダイナの傑作、異色エピソードを名刺代わりに、映画界、オリジナルビデオの世界に進出し、作品を発表してもらいたいものだ。(ティガ、終了後には引く手あまたになるのではないかと思っていたのであるが……)

 川崎監督とは別の意味で印象深いエピソードを撮った原田昌樹監督の演出理論は非常にわかりやすく、うなずくことしきりだった。
 最近ホラー映画がブームになっているが、「女優霊」「リング」「死国」と画面に霊を浮遊させ(と勝手に表現している)、観ている者をゾっとさせる映像テクニックは脚本家・小中千昭の発案だというのを初めて知った。この小中氏のインタビューでは、「ガイア」のナレーション排除について言及していなかったのがちょっと残念だった。

 もちろん他の作家が担当したエピソードの何編かはナレーションを使用しているが、小中氏自身の作品には一切使用されていない。ウルトラ(マン)シリーズはナレーションも一つの魅力(売り)だった。そのナレーションを排除して、映像で物語を語る姿勢というのもシリーズ構成を担当した小中氏の挑戦だったのではないかと僕は思っているのだが。

 平成ウルトラマン立ち上げの立役者・笈川プロデューサーの話にでてくる現場スタッフとの軋轢は、作品は人がつくるものだという認識を新たにさせてくれる。スポンサー、局と現場サイドをつなぐ作業も並大抵のものではなかっただろう。

 フィルムにこだわったMBSの局プロデューサー丸谷嘉彦の存在も忘れてはいけない。
 第一期から活躍している実相寺昭雄、佐川和夫、上原正三の三氏の登場もうれしい限りだ。
 36人の関係者を大枠でティガ、ダイナ、ガイアの3つに区分し、順を追うことでティガ~ガイアにつながるスタッフ証言による「メイキング・オブ・ウルトラマン」になっている。途中に出演者たちへのインタビューを挟んで適度なインターミッションをとる構成も素晴らしく、夢中でページをめくらせる秘策かもしれない。  (2000/12)




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Author:kei
新井啓介
ライターの・ようなもの
まぐまPB「夕景工房 小説と映画のあいだに」(studio zero/蒼天社)
「僕たちの赤い鳥ものがたり 1978-79」(文芸社)
神保町で働いています。

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