スーパー兄弟 龍美麗・三代目南條隆を見る会☆囲む会より続く

 浅草は木馬館に行って以来だ。約3年半ぶりということ。

 前回は木馬館が見つからずKさんとの待ち合わせ時間に間に合うかどうか焦りに焦った。わかりやすい道順だと思って遠回りしたことが原因だ。今回は最短コースを通って(仲見世を浅草寺に向かって歩き境内で左折する)早々に到着した。
 16時30分ちょっと前。劇団員が舞台の扮装で呼び込みしている。まだKさんも橋本さんもいないので近所を散策した。
 東洋館があった。何度か来たことがある。道を挟んだ反対側の、もうひとつの大衆演劇館、大勝館がドン・キホーテに様変わりしていた。

 木馬館にもどってみると、入口前の待合コーナー(?)に橋本さんがいた。何年ぶりの再会だろうか。前回は錦糸町の河内音頭大会(祭)で会ったと思う。
 橋本さんのそばに二人の男性がいた。隣の方は十条の篠原劇場のオーナーだという。対面の方は朝日新聞の記者の方。その名前に反応した。
「もしかしたら、寅さんの記事を書いていた……」
 やはりそうだった。小泉信一氏。2年ばかり大阪勤務だったという。「あのシリーズ、毎週楽しく読んでいたんですよ」
 本も読んでいる。
 朝日新聞のこのコーナーは「男はつらいよ」の連載が終了すると、日活映画の俳優、女優の記事になった。こちらも熱心にチェックしていた。その後小津安二郎特集になったあたりから読まなくなってしまった。

 まずは見る会。Kさんも来て入場料1,600円を払って会場へ。渡されたチケットは、昔映画館で使われていた、あのピンク地のやつ。わかりますか? 懐かしい。
 17時、三代目南條隆とスーパー兄弟公演が始まった。
 ステージは2部構成で、17時から18時30分までが芝居「関の弥太っぺ」、休憩後、19時から18時30分までが舞踊ショー。

 芝居は、座長・三代目南條隆、総座長・龍美麗の台詞まわしを楽しんだ。往年の東映や大映の役者たちに通じるものだ。マスクは杉良太郎と勝新太郎を彷彿とさせる。本日のゲスト、里見要次郎は梅宮辰夫で……ちと強引か。
 舞踏ショーはBGMに新たな発見があった。アレンジがいい。じっくり聴きたい。ニュー演歌、悪くない!
 おひねりタイムではアドレナリンがでまくった。万札を見るとなぜか興奮する。自分がもらったわけではないのに。本日の最高額20万円。

 僕らの列の斜め前に妙齢な女性が座っていた。劇団のファンなのだろう、絶妙のタイミングで大向こうを発する。写真を何枚撮ったのか。ここぞというタイミングでシャッターを押す。画面が見えるからどんな構図なのかわかる。皆かっこいい。ファンのプロといった感じ。

 話は前後する。芝居の冒頭に出てくる釣り人(男)は女性が演じていると思った。舞踊ショーの艶やかな女形姿(女性が女性を演じているのだが)はまるで元AKB48の板野友美のよう、針仕事のしぐさが実にサマになっていて印象深かった。
 先ほどの女性が声をかけた。「マサトォォ!」
 えっ! この人、男性なの? どう見ても女にしか見えないのだけど。
 終了後に判明するのだが、やはり女性だった。南條兄弟の妹さん。マサトは魔裟斗と書くのだそうだ。

 公演のあとは囲む会。近くのすし屋で行われた。
 メンバーには現代書館の社長(この方、公演時隣の席だった)、連載誌「演芸グラフ」関係者、筑摩書房の編集者といった業界関係者のほか、俳優の不破万作さん、シナリオライターの井沢満さんがいた。
 不破さんは橋本さんの大学時代の同級生。井沢さんは大衆演劇を題材にしたドラマを書いたときに橋本さんが考証を担当した関係だという。

 井沢さんが斜め前に座っていたので、日ごろ思っている今のドラマに関する疑問をいくつか訊ねた。
 アナログと地デジが併用で放送されていたとき、ディレクターはどのようにフレームを決定するのでしょうか?
 昔は2クールだった連続ドラマがなぜ1クールになったのでしょうか?

 井沢さんがテレビドラマを書き出したときはもう1クールになっていたとか。もともとラジオを書いていた井沢さんのTVデビューがNHK「みちしるべ」。鈴木清順が俳優として主演したもので、加藤治子と夫婦を演じたロードムービーもの。僕はリアルタイムで観ていた(「NHKアーカイブ」でも取り上げたと思う。こちらもしっかりチェックしている)。
 シナリオライターがどんなに神経をすり減らすものか例を挙げて説明してくれた。

 劇団からの出席者は二代目南條隆さんと、今回の公演にゲストしている南條光貴さん。二代目南條隆さんは「晴れ姿!旅役者街道」で取材されている。素顔は細面の小日向文世。
 南條光貴さんはスーパー兄弟のお兄さん。自分で劇団を持っている。
 途中でスーパー兄弟が挨拶にやってきた。二人とも素顔だから、もし道ですれちがっても本人だとはわからない。
 
 驚いたのはこの席にあのプロファンの女性が友だちと参加したことである。もちろん今回の見る会・囲む会のメンバーではない。橋本さんとは面識がないのだから当たり前だ。二代目南條さんに呼ばれたのだと思う。この、Sさんが呑み席で大衆演劇について、あれこれいろいろと教えてくれるのだ。これは勉強になった。

 スーパー兄弟は来月6月、十条の篠原演芸場で公演する。もう一度観ようと考えている。




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Author:kei
新井啓介
ライターの・ようなもの
まぐまPB「夕景工房 小説と映画のあいだに」(studio zero/蒼天社)
「僕たちの赤い鳥ものがたり 1978-79」(文芸社)
神保町で働いています。

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