あの記者会見があってからというもの誰もが予想していたと思うが、こんなに早くそのときが来るとは……。
 今井雅之の急死に驚いている。
 昨年病気治療で20kg痩せたというニュースでまず思ったのは「癌」ということ。本人が「腸捻転」だと説明して安堵したのだが。

 この役者を認識したのはいつだったか、はっきり覚えていない。
 舞台「THE WINDS OF GOD」の自作自演で出てきたと思う。奈良橋陽子の監督で映画化され、主演している。95年だったのか。

 まったく個人的なことだが、高校のラグビー部の仲間にSというのがいて、風貌が今井雅之に似ているのだ。高校時代のSは髪はリーゼント、外見は完全につっぱりで、不良性感度抜群だった。きちんと勉強すれば国立大に入れるくらいの頭脳をもっている(中学時代は勉強しなくても成績はトップだったとか)のに、結局進学しなかったのではなかったか。
 今井雅之を知った当初は、見るたびにSを思い出していた。

 今井雅之が出演したドラマではっきりと覚えているのは「味いちもんめ」。強面の料理人役だった。主役をSMAPの中居正広が演じていた。今調べたら第2シリーズの京都編。中居くんが京都の料理屋で働くことになって、そこの先輩料理人という設定だ。いつも喧嘩していたような気がする。
 実際に仲が悪かったと知ったのが深夜番組「ナカイの窓」だった。

 この番組、毎回設けられたテーマに沿ってゲストを4人ほど招き、中居くんとMC担当芸人が丸テーブルを囲んでトークを繰り広げる。その回のゲストが今井雅之だった。ほかに高橋英樹がいた。あと誰だったか。
 このとき、「味いちもんめ」の収録現場では、しょっちゅう二人がいざこざを起こしていたという話になった。アイドル嫌いだった今井が何かにつけて中居くんに反発していたという。これではいけないと思った中居くんが本音で話し合うと今井も態度を変え、以後、毎晩飲み合う仲になったという。

 番組の見どころはそのあと。MC担当芸人(ピースの綾部だった)が、高橋英樹に娘の話題を振るとノリが悪い。それでも綾部が娘の話を続けようとすると、今井がキレた。大先輩が嫌がっていること(娘の話題)をどうしてするのか? プロデューサーを非難するとそのまま退場してしまったのだ。あとを追う綾部と中居くん。スタジオの裏で今井と中居くんの喧嘩が始まった。怒鳴り合う二人。泣き出す綾部。

 ……番組が綾部に仕掛けたドッキリだった。
 以降、バラエティ番組で今井雅之を見る機会が増えたような気がする。TOKYO MX夕方の番組のレギュラーになったのは「ナカイの窓」出演の前か後か。中居くんにいじられて人気者になる芸能人がいるとネットニュースになったことがあるが、今井雅之もその一人かもしれない。

 できれば映画を完成させてから、せめて、公演を終了させてから死にたかっただろうに。無念、残念。でもこれも人生なんだ。
 54歳。まさに同世代じゃないか。

 同世代といえば、先日亡くなった大内義昭は55歳。同い歳だ。1960年の3月生まれだから同学年である。
 昨年の暮れ、増田恵子がカバーアルバムをリリースして、そのうちの1曲が「愛が生まれた日」で、大内義昭とデュエットしている録音風景がYouTubeで見ることができた。髪は薄くなったが歌声は変わっていなかった。「愛が生まれた日」は好きな曲なので、気が向けば聴いていた。
 だから急死の報はショックだった。食道癌。

 今朝はTVで今いくよの死を知って大声あげた。一つ上の世代、団塊の世代のおしりの方。
 この方も胃癌を発症して治療していた。
 
 みんな癌で死んでしまう。

 ご冥福をお祈りいたします。




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Author:kei
新井啓介
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まぐまPB「夕景工房 小説と映画のあいだに」(studio zero/蒼天社)
「僕たちの赤い鳥ものがたり 1978-79」(文芸社)
神保町で働いています。

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