今週、7月3日(金)にブロードウェイ・ミュージカル「ジャージー・ボーイズ」(東急シアターオープ)を観劇する。

 クリント・イーストウッド監督の映画「ジャージー・ボーイズ」は劇場で3回観た。それも一週間に3回。こんなこと生まれて初めてだった。まあ、MOVIXの会員カードが昨年の春にリニューアルされて、丸の内ピカデリー、新宿ピカデリーも対象になったことも大きい。観賞するたびに1,300円クーポンが配付される。つまり、いつでも1,300円で映画が観られるってわけ。

 本国アメリカでは、イーストウッド監督の「ジャージー・ボーイズ」に対する評価はそれほど高くないらしい。映画の良いところはすべてミュージカルでやっているとのこと。
 本当にそうなのか? 個人的にはイーストウッド監督はミュージカルの舞台版をきちんと音楽映画に変換していると思っている。果たして映画は舞台と同じものなのか、否か。そこををきちんと確認したい。

 ブロードウェイ・ミュージカル「ジャージー・ボーイズ」の日本公演を知ってからというもの、チケット予約開始を首を長くして待っていた。初日に電話した。一番安い(それでも税込9,000円)B席。3階席の前から2列め真ん中あたり。
 今日、しまってあったチケットを取り出してみたら、宛名が新井景介になっていた。申し込んだとき、名前を訊かれて「拝啓の啓」と言ったのに! どうして啓が景になるわけ? 
「あっ、そうか」
 背景の景と聞き違えたのか。

 とにかく、当日はオペラグラス持参で東急シアターオーブへGO!


 ブロードウェイ・ミュージカルといえば、オフブロードウェイの「Hedwig & The Angry inch」の日本公演は実現しないものか。映画にハマってサントラCDを聴きまくった。それだけでは飽き足らなくて、舞台版のCDも購入。以来、オリジナルキャストの公演を生で観たいと願っているのだ。
 7年前に日本人キャストによる舞台を観賞した。

     ◇

2007/04/07

 「ヘドウィグ・アンド・アングリーインチ」(東京厚生年金会館ホール)

 オフ・ブロードウェイの大ヒットミュージカルを映画化した「ヘドウィグ・アンド・アングリーインチ」にハマったのはもう5年も前になる。サウンドトラック(CD)を買って、毎晩聴いていたものだ。
 いつしか生の舞台に興味が移っていた。本当なら、映画でも脚本、監督、主演したジョン・キャメロン・ミッチェルのオリジナルを観たいが無理な話。

 日本では三上博史がヘドウィグに扮した舞台が話題を呼んだ。結局チケット予約が面倒なのでパスしてしまってウン年。今回キャストが山本耕史に代わって新宿の厚生年金ホールで上演されると知ってあわてて予約した。
 最近、東京は別の小屋で上演され、その後地方を回り、厚生年金ホールが最後の公演だと知った。だから2日間だけの上演、そしてFINALなのか。

 実際の舞台は「Hedwig & The Angry inch」のライブそのものという設定なのだった。近隣の大ホールでは、自分を裏切ってスター街道ばく進中のトミーのコンサートが開催されていて、ライブハウスのドア(ステージ上手ソデ)を開けると歓声が聞こえてくる。
 そんな状況でヘドウィグは自身のバンドのライブを敢行し、曲の合間に自分の過去を語ってゆくという構成。

 当然、舞台はバンドメンバーしか登場しない。芝居部分といえば、ほとんどヘドウィグのMCなのだが、話にでてくる母や恋人等、コーラス担当のイツハク(中村中)が代役することもある。ヘドウィグの一人芝居、あるいはイツハクとの二人芝居といった感じだ。
 その他はギター2名、ベース、キーボード、ドラムスの編成。

 ロックを子守唄にして東ドイツで生まれ育った、同性愛者のヘドウィグがアメリカ兵と恋に落ち結婚、渡米前に性転換手術を受けるものの、失敗して股間に1インチの突起物を残す。
 渡米後あっけなくアメリカ兵に捨てられてから知り合うのがロックシンガー志望の高校生トミー。トミーにほれ込み、惜しみなく愛を注ぎながらロックの真髄を教えて込むが、ある日楽曲のすべてを盗んで逃走。プロデビューしてあっというまに人気アーティストを階段を昇っていく。トミーの裏切りを許せないヘドウィグは自身のバンド〈The Angry inch〉を率いて、トミーのツアーを追いかけていく。
 そんなストーカー的ドサまわりのある日、ある場所のライブを再現したのがロックミュージカル「ヘドウィグ・アンド・アングリーインチ」なのである。(しかし、そうなると厚生年金ホールは広すぎるか)

 映画を観ているので、バックボーンがわかるのだが、果たして初めてこのミュージカルを観た人が内容まで理解できたどうか。
 でもまあ、そんなことはどうでもよい。Hedwig & The Angry inchのライブにノレるかどうか。そこが肝心なのだから。

 1時間45分のライブは予想以上の出来。もう最初から最後までノリノリだった。バックは、その道のプロを揃えればそれなりの演奏はお手のものだろう。感激したのは山本耕史のヴォーカルだ。それも日本語訳詩ではない。すべて原曲の英語のまんま。これがうまいのだ。発音、歌唱、すべてにおいて及第点以上。ちゃんとロックしていた。ライブとしてはほぼ完璧。山本耕史について何も知らなければ本業も歌手だと思っていただろう。芝居の方は本家に比べて猥雑さが欠けていたけれど。

 オープニングの「TEAR ME DOWN」で客が立ち上がったのにはまいった。こちとらもう若くないんだ。座って鑑賞したいのに、舞台が全然見えない。これがずっとラストまで続くのかと少々ゲンナリしたら、曲が終わるとちゃんと着席。一安心。ならばと「Angry Inch」は立ち上がり、「Wig in the Box」では「皆さん、ご一緒に」の掛け声から一緒にうたった。

 新人歌手の、どちらから読んでも中村中のイツハクもいい。実際は中と書いて〈あたる〉と読む。ハーモニーがきれいだった。ずっと「パイレーツ・オブ・カリビアン」のジョニー・デップみたいなむさい男の格好をしていて、ラストで白いドレスの女性に変身する。この落差がたまらない。
 女性で中という名前も珍しいと思っていたら、なんとこの方、最近性同一性障害をカミングアウトした男なのだった!

 大満足。7,500円の価値は大いにあった。
 次はもう少し小さな小屋でもう一度観てみたい。


【追記】

 なりやまない拍手で2度(3度?)舞台に登場した山本耕史。設定が設定なのだから、バンドメンバーを引き連れて何か1曲うたうべきだろう。

     ◇

2002/03/13

 「ヘドウィグ・アンド・アングリーインチ」(渋谷 シネマライズ)  

 オフブロードウェイでロングランを続けたミュージカルの映画化だという。  

 東ドイツに住む、ロックを子守唄がわりにして育った同性愛者の主人公(ヘドウィグ)がアメリカ兵に見初められて結婚、渡米前に性転換手術するが失敗し、アメリカに着いたとたん捨てられる。
 やがてベルリンの壁が崩壊。彼女(?)はベビーシッターのアルバイト先で知り合ったロックシンガー志望の17歳の高校生・トミーと意気投合。彼をロックシンガーにするべく、自分の持てるすべての愛を注ぎ、ロックの真髄を教え込む。自分の運命を赤裸々に綴った歌作りの日々。ところがある日トミーがヘドウィグの楽曲を盗んで遁走。プロデビューして、あっというまに人気アーティストになってしまった。
 トミーを許せないヘドウィグは自分のバンドを率いて、彼のツアーを追いかけるストーカー的ドサ回りの旅にでる。  

 タイトルの〈アングリーインチ〉とは性転換に失敗したヘドウィッグの股間に残ったわずかな突起物を指している(怒りの1インチ)と同時に、そのままバンド名にもなっているというわけ。  
 トミーのコンサートが開催される大ホールの近くにあるレストランやパブでのライブ。そこで一部のお客の不快感など省みず、ハデハデゴテゴテ、奇抜な衣装で自分の数奇な運命を歌い上げ、トミーの不正を弾劾する。    

 ヘドウィグのこれまでの半生(ロックシンガーになるまでの軌跡)を描く方法が巧い。まずライブで、ヘドウィグ自身が歌で語る。時に当時の映像がインサートされ、やがて歌と映像がシンクロし、いつしかミュージカル特有の時間と場所を超越した世界に突入していく。個人的なミュージカルで一番気になる部分、芝居から歌のシーンに転換するところがごく自然に受け入れられた。
 ロックバンドがフィーチャーされたミュージカルに一番期待したのがここなのである。
 とにかくライブシーン、ミュージカルシーンが楽しい。「Origin of Love」のヘタウマアニメのインサートが効果的。
 また「はい皆さん、ご一緒に」とヘドウィグの掛け声とともに「Wig in the Box」の歌詞がインポーズされて、映画がカラオケ映像になるなんて、コロンブスの卵的新鮮さでカラオケ好きにはたまらない。心が躍った。もう一度カラオケシーンがあったらぜったい声出して身体を揺らして歌っていただろう。最高!

 脚本・監督・主演のジョン・キャメロン・ミッチェルはその気があるのかないのか。まあ、そんなことはどうでもいいけれど、女装姿が見事に決まっていた。ハデハデなステージ衣装以外の、カジュアルな格好の時に見せる足の形(細さ)だとか肩のあたりの曲線だとか、ホント女なのだ。
 トミーとの蜜月時代に、ドアのところでくちづけを交わすシーンがある。このときヘドウィグの全身から醸し出す雰囲気がとてもナチュラル。痺れました。1インチぐらいの突起なんかゆるしてしまいたくなる。小さな胸のふくらみが始終気になって気になって……

 この映画、映画本来の楽しみとは別にソックリさん大会の趣きもあります。
 ヘドウィグはある時は〈狩人〉のお兄さん、またある時は京唄子、黒柳徹子(あくまでもヘアスタイルが)、ファラ・フォーセット……、トミー(マイケル・ピット)はどうみたってディカプリオでしょう。バンドのメンバーでヘドウィグの現在の夫・イツハク(ミリアム・ショア)はジョニー大倉かケミストリーの野人みたいな方(名前知りません)、なんて。
 このイツハク、髭面ではあるけれど、一目見た時から、声を聞いたらなおさら女性だとわかる。役もヘドウィグの目を盗んで彼女のかつらをそっとかぶってうっとりしたりする、ちょっと屈折した、わけありの性格の御仁。それからはいつヘドウィグを凌駕するような美貌の女性に大変身してくれるのか、胸わくわくものだったのだが、そういう展開にはなりませんでした。(ラスト近く、ステージから客席にジャンプし、変身した女性は本人なのかな? 僕にはそう見えなかったのだけれど。)

 冗談はさておき。
 劇場を出るときエンディングロール曲を口ずさんでいた。これは昔からの観た映画がたまらなく素敵だった証拠である(ラストの不可解さは別にどうでもいいことだと思う)。
 もう一度観たい。いやその前にサントラ買って、ナンバーをソラで歌えるように練習しておこうか。




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Author:kei
新井啓介
ライターの・ようなもの
まぐまPB「夕景工房 小説と映画のあいだに」(studio zero/蒼天社)
「僕たちの赤い鳥ものがたり 1978-79」(文芸社)
神保町で働いています。

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