〈思い出し笑い〉ならぬ〈思い出し泣き〉。今日は思い出すと涙がにじんで仕方なかった。昨日の「天皇の料理番」のこと。黒木華が愛しくて愛しくて。彼女の死は悲しいことだけど、ドラマにはそれだけでないものが描かれていた。つまり涙は悲しいからではない。そこがポイント。

          * * *

2015/06/24

 『「おもしろい」アニメと「つまらない」アニメの見分け方』(沼田やすひろ・金子満監修/キネマ旬報)

 この書名だと誤解する人がいるのではないか。これから劇場公開されるアニメ映画、あるいはオンエアされるTVアニメで何が面白いかが予告編やスポットCMでわかるにはどうすればいいか、はたまた過去のアニメ作品をDVDで借りるにあたって、失敗しない作品選びとは何ぞや。なんてことを指南してくれる本じゃないのか、と。
 違う。「13フェイズ構造理論」で作品を分析しておもしろいアニメ、つまらないアニメを語ってゆく。見分けるにはとにかく観なければならないわけだ。

 「13フェイズ構造理論」とは何か?
 一番シンプルな変化のプロセスは3段階あり、「対立」→「葛藤」→「変化」となる。このドラマを感じさせる最低単位を「ドラマユニット」という
 作品全体にかかるドラマユニットを「三幕構成」と呼ぶ。
 納得できる筋立てとは、観客に〈物語につきあいたい、このまま観続けたい〉という気持ちにさせるもの、そうするには13段階のプロセスが必要であり、長編やシリーズ作品には不可欠だという。 

 [第一幕] 対立
 0 背景:ない場合もある
 1 日常:主人公の日常生活、主人公の問題点(変化前の状態) を明示
 2 事件:事件が起きて、主人公が日常生活から抜け出る
 3 決意:究極の選択を迫られ決意→第二幕へ

 [第二幕] 葛藤
 4 不況:主人公の苦境、悩みが始まる
 5 助け:助けが現れる。人、物等々
 6 成長・工夫:苦境の中でなんとかやっていけるようになる
 7 転換:達成感。助けを受けてやっていけるようになったことによる達成感
 8 試練:もっと苦しい何かが起こる。 ※助けがない。仲間は主人公を助けない。助けられない。
 9 破滅:どうしようもない。全然ダメ。
 10 契機:手がかりを見つける。究極の選択 ※対決への決意。この決意で変化する。

 [第三幕] 変化
 11 対決:敵対するものと対決する
 12 排除:敵を排除する
 13 満足:主人公の満足感

 この「13フェイズ構造理論」に則ったおもしろいアニメとして、劇場長編「天空の城ラピュタ」、TVシリーズ「美少女戦士セーラームーン」を挙げ、巻末で詳細に分析する。「トイストーリー」も完璧だという。
 

2015/06/28

 「星を喰った男 ―名脇役・潮健児が語る昭和映画史 」(唐沢俊一/ハヤカワ文庫)

 潮健児の顔を覚えたのはTVの「悪魔くん」だった。二代目メフィスト役として登場したのである。もともとメフィストは吉田義夫が演じていたのだが、病気のために降板し ピンチヒッターとして潮健児が起用されたのだ。
 起用にあたってはおもしろい試みがされていた。同じメフィストでも吉田は兄、潮は弟という役回りで、兄に代わって弟が登場したという設定になっている。別人だから共演も可能なのである。

 これを応用したのが「仮面ライダー」である。撮影中にバイク事故で大けがした藤岡弘(現・藤岡弘、)に代わって、佐々木剛が主役になるのだが、このときも単なる代役ではなかった。藤岡が演じていたライダー(1号)はヨーロッパに赴任、代わって佐々木の2号が日本を守るという展開だった。藤岡のけがが治るとゲスト出演し、ダブルライダーとして全国の少年たちを熱狂させた(その後、藤岡弘は新1号として主役にカムバック)。

 閑話休題。
 吉田義夫のメフィストがよかったので、弟メフィストとの交代に少々残念な気持ちがあったのだがすぐに慣れた。弟メフィストも味がある。本書の中で、吉田メフィストと悪魔くんは父と息子の関係、自分とは兄弟みたいだったと書いているが確かにそんな感じがした。
 続いて「河童の三平」のイタチ男を演じた。そのほか東映のTV番組(子ども向け、大人向け)によくゲスト出演していた。「仮面ライダー」にはショッカー幹部・地獄大使で一時期レギュラー出演した。昭和40年以降の世代には潮健児といったらこの役だろうか。
 本書が出版された当時、書店で見かけたことがなかった。古書店にもない。幻の書籍といった印象があった。図書館で調べたら自動書庫にあったので借りてきたというわけだ。

 愉快な話が次々に出てきて飽きさせない。
 東映の大部屋出身と思っていたら、その前、古川ロッパの劇団からスタートしている。映画ではなく舞台でデビューしているのだ。劇団は2年で退団、その後別の劇団を経由して大泉映画に入る。ロッパは弟子に芸名をつけるとき、古川に由来して必ず水に関係するものにするという。
 ロッパにつけられた名前は退団時に返却してしまったが、師匠はロッパ一人だけという考えで、新しい芸名をさんずいの潮にしたという。東映時代は若山富三郎に気に入られ、若山主演の映画には必ず客演した。アルコールが飲めず甘いもの好きというところも共通していた。
 「悪魔くん」で共演した金子光伸とのエピソードは胸を熱くさせる。

 子ども時代にファンになった役者は何歳になっても忘れられない。


2015/06/30

 「手塚治虫マンガ論」(米沢嘉博/河出書房新社)

 再読。構成が巧い。個別に書かれたものを集めたとはとうてい思えない。




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Author:kei
新井啓介
ライターの・ようなもの
まぐまPB「夕景工房 小説と映画のあいだに」(studio zero/蒼天社)
「僕たちの赤い鳥ものがたり 1978-79」(文芸社)
神保町で働いています。

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