日本テレビのスペシャル番組「ウルトラセブン 太陽エネルギー作戦」はかなり話題を呼んで続編「地球星人の大地」が作られ、やがてオリジナルビデオシリーズを生んだ。フィルムではなくビデオ、低予算だから、セブンの世界観を再現するのは力及ばずだったが、TVシリーズの続編というところにスタッフの心意気を感じたものだ。
 レビューにも書いているが、この勢いで映画を作ってもらいたかった。あのペガッサ星人の回をオリジナル展開させてもらいたかった……。

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1999/08/08

 「ウルトラセブン 1999最終章 空飛ぶ大鉄塊」(ビデオ)

 今回は特撮にしびれた。
 低予算だし、作り自体はミニチュア然としたものなのだが、何とか往年のミニチュアワーク(ウルトラホーク1号&3号の発進シーンや共演)を再現しようとする姿勢が素晴らしい。
 もうフィルムだ、ビデオだということもどうでもいい気がしてきた。


1999/11/04

 「ウルトラセブン 1999最終章 約束の果て」 (ビデオ)

 脚本が太田愛で、前巻に収録されていた予告編を観る限りでは、ある町の町自体のタイムスリップを扱った物語らしく、大いに期待した。
 浦島太郎伝説をベースに(というかそのものずばり)しているのでいやがうえでも実相寺監督の「ウルトラQ ザ・ムービー 星の伝説」を彷彿させる。前半は映像の質感からして、なかなかの出来であった。「星の伝説」以上のおもしろさ。
 しかし、怪獣が出現すると一気にそれまでの雰囲気をぶち壊した。シリーズの構成上、セブンvs怪獣(宇宙人)のクライマックスがはずせないのはわかるけど、今回登場する怪獣には全くその存在理由がないのがつらい。つまりセブンと戦うだけに創られた怪獣という感じなのである。
 この違和感というのは「星の伝説」にも言えた。謎の女性(高樹澪)の「ナギラ!」の掛け声ひとつで怪獣が出現したくだりでがっくりきたのを覚えている。怪獣出現の伏線が全く描かれていなく、唐突に、宇宙人の用心棒のごとく登場する怪獣は魅力半減だった。なぜ怪獣が現われるのか?どうして怪獣があばれるのか?そしてその怪獣をどうやって人間が倒すのか、を描くのが「ウルトラQ」だったのに。同じ浦島伝説だからと言って、こんなとこまで真似しなくてもいい。
 特別なエネルギー放射によって、町の現在と過去が瞬時に入れ替わるカットは、なかなかの斬新な映像だった。
 怪獣にこだわることなく、もっとミステリー色を強めた異色作に仕上げた方がよかったのではないか。


1999/12/10

 「ウルトラセブン 1999最終章 模造された人間」(ビデオ)

 今回のビデオシリーズ最大の売りだったキング・ジョーの復活。最新の特撮でかつての人気ロボットが蘇る。ただその1点だけを見ればまことによくできたエピソードである。合体シーンの見事な出来栄えに快哉を叫びたい。
 ただストーリーについてはどうも納得がいかない。すっきりしないのだ。
 これは新作ウルトラセブンがTVシリーズの世界観を踏襲し、その後日談という体裁で低予算によるビデオ撮影のオリジナルビデオ作品であることに関係している、と思う。
 つまり、TVシリーズのようなハードな展開にすると低予算のため、セット(あるいは小道具)に限りがあり、特撮だけでなく、実写シーンでもチープな雰囲気になってしまうのだ。逆に予算に合わせて、ホームドラマ的な物語を設定すると、なぜこれが「ウルトラセブン」の世界なのか、こんな市井の些細な事件にあのウルトラ警備隊が出動するのかという違和感が生じてしまうことになってしまうのである。
 それが如実に表れたのがこのエピソードと言えないだろうか?
 キングジョーの復活編ならば、もっと雄大で壮大な宇宙人による地球侵略、それを阻止するウルトラ警備隊の活躍、今の技術なら「U警備隊西へ」以上の大活劇が描けるはずなのだ。にもかかわらず、一家庭内の父娘が抱える問題として処理してしまっているのでたわいもない件の描写に始終する。それがはがゆい。これは脚本や演出がどうのということではなく、ビデオでウルトラセブンをやる企画自体の問題だと思う。「怪奇大作戦」をこのようなオリジナルビデオにするなら、かなり世界観と映像がフィットする作品になるのに……。


1999/12/28

 「ウルトラセブン 1999最終章 わたしは地球人」(ビデオ)

 「1999最終章」というタイトル、平成セブンシリーズの〈とりあえずの〉完結編とはいえ、TVシリーズの傑作の1つ「ノンマルトの使者」のテーゼを再度ここで問うことが果たしてふさわしかったのかどうか。
 いや、最終話にこの問題〈地球人は本当に地球の侵略者だったのか?〉をあえて主題に持ってきたスタッフの心意気はわからなくない。現在、あの当時と同じ世界観のセブンを描くのなら、子ども時代にあのあまりに重い衝撃を受けた者として、どうしても避けて通れないテーマかもしれないし、だからこそ何としても、落とし前をつけなければならないと考えるのも無理はない。
 だが、簡単に〈地球人は実は侵略者だった〉との答えを導きだしてよかったのかどうか。それが「ノンマルトの使者」の作者・金城哲夫が望んだ答えだったのか。
 「ノンマルトの使者」は沖縄人・金城哲夫が子ども番組の中で、ぎりぎりの表現方法で本土と沖縄の問題を扱った寓話だと思っている。それに「ノンマルトの使者」のテーゼはあのエピソードの中で完結していると信じている。答えなど永遠にでないはずなのだ。
 うまく表現できないが、「パンドラの函」を開けてしまった、というのがこの最終話の率直な感想である。
 前エピソードで感じたハードな展開とそれについていけない映像の違和感は今回も生じている。
 「太陽エネルギー作戦」「地球星人の大地」という、どう見ても成功作とは思えないスペシャル番組の後のビデオ3部作。そしてまたこの最終章6部作。確かに今回は特撮スタッフの頑張りがあって、TVスペシャル、前3部作を凌駕する内容になったことは大いに認めたい。
 しかしTVシリーズの延長としてこのビデオシリーズを位置づけるとなると全面的に肯定するわけにもいかない。
 ウルトラセブンのTVシリーズをリアルタイムで見ていた世代を対象にして、その世界をビデオの予算で製作し、納得させられるわけがないではないか。
 前3部作、今回の6部作の予算をつぎ込んで1本の映画(ビデオ作品)を作れるかどうか。そのくらいウルトラセブンの世界は高度に完成されていたのである。

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Author:kei
新井啓介
ライターの・ようなもの
まぐまPB「夕景工房 小説と映画のあいだに」(studio zero/蒼天社)
「僕たちの赤い鳥ものがたり 1978-79」(文芸社)
神保町で働いています。

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