2015/07/18

 「彩の国さいたま寄席 四季彩亭~彩の国落語大賞受賞者の会 立川談笑」(さいたま芸術劇場 小ホール)

 この落語会については偶然ネットで知った。談笑落語に興味があるところにゲストが談四楼師匠だというのであわててチケットを申し込んだ。それにしても彩の国落語大賞なるものがあったとは!

 さいたま芸術劇場は一度だけ行ったことがある。娘が中学生のときに所属していた吹奏楽部が県のコンクールに出場した。コンクールの会場が芸術劇場だったのだ。いや、高校時代だったか。
 とにかく、この劇場は蜷川幸雄が芸術監督となってシェイクスピアを上演していることで有名だ。劇場近くの歩道にはシェイクスピア劇に出演した役者たちの手形レリーフが並んでいる。

 前回行ったのは音楽ホールだった(と思う)が、今回は小ホール。こじんまりとしていて、また座席が階段状になっているから舞台が観やすい。
 座席はK-15、後ろの方だ。右隣は若い女性が二人、左はお年寄りの女性二人連れだった。

 始まってすぐに変な音が聞こえてきた。それもすぐ近くから。左隣の女性がつけている補聴器が発生源だとわかった。わかったものの注意することに躊躇した。ハウリングではない。接触不良というか受信不良というか、少々神経に障る音なのだが、我慢できないわけではない。そのうち本人が異常音に気がつくだろう。それまで待とうと思った。もう一人の女性から指摘があるかもしれないし。
 ところが前の席の老夫婦がしきりに目配せするようになった。たまに後ろを振り返る。音を気にしていることは一目瞭然。回りの人たちもこの音を不快に感じているのか。だったら隣の僕が皆を代表して声をかけるべきなのか。

 いろいろ考えた末、仲入りまで待つことにした。
 が、前の席の夫婦が何度も後ろを振り返るので、本人も音に気がついたようだ。補聴器をはずしてバッグにしまってしまった。にもかかわらず音は鳴りやまなかった。
 これはもう言うしかあるまい。
 隣の女性の耳元でささやいた。
「すいません、音がまだやまないのですが」
 たぶん聞こえていないのだろう、女性は反応しない。
 もう一度言った。
「あの~、音はまだ鳴っていますよ」
 やっと気づいてくれた。しかし、補聴器のスイッチ(だと思う)を切るまで、いろいろやりとりがあった。相手は補聴器をしないとまったく耳が聞こえない(ことがあとでわかった)。声が大きくなるのだ。僕らのやりとりに対して、振り向くお客さんが多くて困った。演者にも迷惑をかけたかもしれない。

 休憩時に詳細がわかった。
 女性はいくつも補聴器を持っていて、会場でどれがいいか実際に身につけて選んでいた。補聴器Aを取り外してスイッチを切るのを忘れたままバッグしまって、補聴器Bをつけた。そしたらこれが調子がいい。つまりAとBが反響しあって不快音が発生したというわけだ。
 
「補聴器はずすと何も聞こえないからね、もう帰ろうと思った」
 一件落着して女性が言う。
「前の人は何度も振り向くし、もういたたまれなくて」
 

  立川笑二 「真田小僧」
  立川談四楼「一文笛」
  立川談笑 「金明竹」

  〈仲入り〉

  立川吉笑 「狸の恩返しすぎ」
  立川談笑 「片棒・改」


 さて、高座の印象。
 笑二さんがとても巧くなっていた。面白い! フラと実力が掛け算となっているというか。成長著しい。
 談四楼師匠は、予想どおりの演目。「待ってました!」 聴きたかったんだ、これ。
 談笑師匠の「金明竹」は東北弁バージョン。ほんと何をしゃべっているのかわからず笑いも倍増する。
 吉笑さんの「狸の恩返しすぎ」は吉笑落語の定番になったのか。もしかしたらお客さんの大部分は古典落語、狸ものの一つぐらいの認識でいたりして。
 談笑師匠の2席めは「片棒・改」。マクラで師匠・談志のケチぶりを吹聴するときは必ず「片棒・改」って決まっている、らしい。本人が噺に入る前にこれまた必ず説明する。一度は生で「イラサリマケー」(居酒屋・改)を観たい、聴きたいと願っているのだが。

 それにしても、談笑一門は個性派ぞろいだ。三者のキャラクターが際立っていて三様の落語が楽しめる。この3人で興行が成り立つのではないか(前座の笑笑さんの離脱が残念だ)。
 今回、3人に足りないものをゲストが埋めた形になって、充実した落語会となった。





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転載: 「劇場版 仮面ライダー555 パラダイス・ロスト」
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Author:kei
新井啓介
ライターの・ようなもの
まぐまPB「夕景工房 小説と映画のあいだに」(studio zero/蒼天社)
「僕たちの赤い鳥ものがたり 1978-79」(文芸社)
神保町のブックカフェ二十世紀で働いています。さまざまなイベントを企画、開催していますので、興味あれば一度覗いてみてください。

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