先週の某日、埼玉某所で仕事してそのまま直帰となった。西川口駅に着いたときは夕方とはいえまだ明るい。
 自宅への帰り道、マルエツで買い物するために、信号を渡ってから一つ奥まった道を歩いていた。保育所の隣、一軒家の門扉に「段ボールでウクレレを作ろう!」という案内が貼ってある。その家ではアトリエと称して子ども相手に工作を教えているらしい。

 ウクレレを段ボールで作る!?
 あわてて案内に記載している電話番号(携帯)に電話した。
 この教室に出席したかったのではない。対象が小学生であることはわかっている。だいたい平日の16時に始まるのだ。サラリーマンが参加できるわけがない。

 なぜ電話したのか? どうしても確認したかったことがあるからだ。呼び出しに反応がなく電話を切った。しばらくしてまたかければいい。携帯をズボンのポケットにしまおうとすると振動があった。女性だった。
 まず参加ではないことをお詫びして言った。
「どうしても確認したいことがあって電話したんです。段ボールで作ったウクレレの音はきちんと鳴るのでしょうか?」
「はい、それなりに、ですが」
「では、ギターも段ボールで作れますか?」
「可能でしょう」
「弦は何を使うんですが?」
「ピアノ線です」
 心の中でガッツポーズ!

 ウクレレが段ボールで作れるなら、ギターも作れるのではないか? 
 これが確認したいことだったのだ。

 小学生の低学年のころ、GSブームが席巻した。タイガースの「モナリザの微笑」聴きたさに、TVの歌謡番組にチャンネルを合わせ、一気にGSにハマっていった。
 で、思うようになった。自分もバンドを作りたい。ギターを弾きたい。ギターを弾きながら歌をうたいたい。
 普通ならガットギターなりなんなりを親に買ってもらって練習する、というのがオーソドックスなパターンだろう。
 そんなことはこれっぽっちも考えなかった。
 何をしたか。自前のギターを作ろうとしたのである。それも厚紙で。弦には輪ゴムを代用しようとした。
 自宅で友だちと一緒に作り始めたのだが、結局完成しなかった。

 ときどき思い出すことがあった。厚紙でギターを作ろうだなんて、なんて幼稚な発想だと笑っていたのだが、あながち間違っていなかったことが確認できたのである。輪ゴムの弦はいただけないけれど。

「ウクレレ作りに参加してみませんか、別にお子さんと一緒でなくてもいいですよ」
 電話の向こうから天使の声が。
 いやいや、平日の16時は無理なんですよ。丁重にお断り申し上げた。
 段ボールのウクレレの音色を聴いてみたかったが。
 完成品もこの目で見たかった。




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転載:「ゴジラ2000ミレニアム」「ゴジラ×メガギラス G消滅作戦」
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Author:kei
新井啓介
ライターの・ようなもの
まぐまPB「夕景工房 小説と映画のあいだに」(studio zero/蒼天社)
「僕たちの赤い鳥ものがたり 1978-79」(文芸社)
神保町で働いています。

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