夏休みになってから、朝風呂を日課にしている。旅の宿を入れて、BGMを流してゆっくりと40分ばかり湯船につかる。赤い鳥「竹田の子守唄」(最近購入)、吉田拓郎「LIVE '73」、ビージーズ「ベスト」、ビートルズ「リボルバー」「ラバーソウル」。

 昨日(15日)は遅く起きたので、湯船につかる時間がなくてシャワーを浴びて、急いで外出の支度。丸の内ピカデリーで12時50分「日本のいちばん長い日」を鑑賞するためだ。
 12時20分過ぎ、チケット売り場は列ができていた。チケット販売状況も△になっていた。2階席は完売。もう1階の前方の席しか残っていなかった。この劇場は2階席が観易いのだが仕方ない。皆さん、考えることは同じなのだ。

 傑作の東宝作品を観るようにMさんからDVDを借りたのだが、まだ鑑賞していない。先に新作に触れてからという考えによる。

 「駈込み女と駆け出し男」に続く原田眞人監督作品。キャスティングの妙がスパイスになっていて、ドキュメント性を醸し出していた。同じ実話を映画化した「突入せよ!あさま山荘事件」でも感じたことだ。
 東條英機役の中嶋しゅうっていったい何者なのか。ほう、舞台の人なのか。晩年の黒澤映画にも出演している。やっぱりこの人A級戦犯だな。
 鈴木貫太郎首相(山﨑努)の狸親爺ぶりにニヤニヤ。この人、天皇の意見に忠実だ。
 モックンの昭和天皇はかっこよすぎないか。軍服姿(全身、足元まで)に惚れ惚れしてしまう。
 阿南陸相(役所広司)の最後の酒盛りに涙が流れた。戦死した息子への想いに胸を打たれたのだ。それはラストの奥さんの姿にも通じる。
 結局、軍人は天皇の考え、意見なんてものに耳をかさず、軍のプライド(立場)を優先させ、やりたいことをやっていただけではないかと思えてならない。もし、畑中少佐(松坂桃李)たちが成功して、本土決戦が実現していたらどうなっていたのか。

 エンディングロールが流れているとき左隣の老夫婦の会話が聞こえてきた。夫が言うには「阿南は三船敏郎より役所広司の方が良い」。

 映画終了後、遅い昼食をとってから、三省堂書店で時間をつぶし、下北沢の北澤八幡神社へ。
 201回めの「立川談四楼独演会」なのだ。詳細はまた後で。

 翌日は休み(夏休み最終日)なので、二次会に出席しようと思っていた。先月までは。懐事情を鑑み(こればっかり!)、会場での打ち上げだけで帰ってきた。

 DVD「日本海大海戦」「連合艦隊」「日本沈没」を返却し、新たに「連合艦隊司令長官 山本五十六」「ゼロ・ファイター大空戦」「東京湾炎上」を借りる。

 帰宅して東宝版「日本のいちばん長い日」を観る。同じ昭和20年8月15日(までの数日)を描いていても、印象はずいぶん違う。カラー(松竹版)とモノクロ(東宝版)の違いだけではない。

 東宝版(脚本:橋本忍 監督:岡本喜八)は15日に至るまでの描写ではナレーション(仲代達矢)を多用する。また、阿南陸相の家庭はいっさい描かれない。昭和天皇も一応役者(松本幸四郎)が演じているが、決して顔は撮らない。
 旧作「日本のいちばん長い日」は全編にわたって汗が強調されていた。本土決戦を熱望する畑中少佐役は黒沢年男。エキセントリックな演技が見ものだ。

 切腹する阿南陸相のシーン。東宝版では部下の二人が廊下の後方で見守る。松竹版では二人を外に出してしまう。
 松竹版ではラストに阿南の遺体に向かって奥さんが戦死した息子の最後の姿を語るシーンがある。家族を描かない東宝版では当然そんなシーンはない。
 新旧の映画の一番大きな違いはここだと思う。真実はどちらなのか。原作を読むしかあるまい。




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Author:kei
新井啓介
ライターの・ようなもの
まぐまPB「夕景工房 小説と映画のあいだに」(studio zero/蒼天社)
「僕たちの赤い鳥ものがたり 1978-79」(文芸社)
神保町で働いています。

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