「特技監督 中野昭慶」(ワイズ出版)を読めば、当然、助監督として特技監督として参加している一連の東宝作品を観たくなる。ここのところ毎週DVDを借りてきている。

     ◇

 「日本海大海戦」
 (脚本:八住利雄 監督:丸山誠治 特技監督:円谷英二 主演:三船敏郎)

 NHKのスペシャルドラマ「坂の上の雲」の海戦シーンをVFXで再現する際、スタッフは東宝「日本海大海戦」を意識してらしい。東郷ターンの描写では負けたくない、という意識があったことをメイキング本で知ってこの映画に興味を持った。
 東宝が「日本のいちばん長い日」「連合艦隊司令長官 山本五十六」に続いて制作した8.15シリーズ第3弾。そうか、円谷英二の特撮を売りにした東宝の戦記映画は「日本のいちばん長い日」が出発点なのか。
 まあ、「ゴジラ」以前から「ハワイ・マレー沖海戦」等戦記映画は作られていたから全く新しいジャンルというわけはないだろう。
 また、この映画に関しては8.15シリーズといっても明治時代の日露戦争を描いてるから特別編という位置づけだろう。
 確かに特撮シーンは見事といえる。堂々とした絵なのだ。惚れ惚れしてしまう。円谷特技監督の実質的な最後の作品とのこと。


 「連合艦隊」
 (脚本:須崎勝彌 監督:松林宗恵 特技監督:中野昭慶 主演:小林桂樹、丹波哲郎)

 大和の巨大なミニチュア(実際に自力で動く)が製作されて盛んに宣伝にかりだされていたことを思い出す。特撮には興味があったはずなのに、映画は観なかった。戦争映画があまり好きでないからだろうか。自分もよくわからない。
 特撮シーンは、「日本海大海戦」の方が迫力あったように感じた。大和の最期はすごいヴィジュアルだったけれど。
 山本五十六というと、三船敏郎のイメージが強いのだが、本作では小林桂樹が演じていた。その最期は東映の「聯合艦隊長官 山元五十六」を先に観ているので、復習をしているような気持になった。
 松林監督の名前は市川崑監督「女王蜂」のクレジットで覚えた。協力監督とは何ぞやと。また、宗恵をずいぶん長い間〈そうけい〉と読んでいた。〈しゅうえ〉が正しい。「帰ってきたウルトラマン」にも参加しているがまるで印象にない。


 「東京湾炎上」
 (脚本:大野靖子、舛田利雄 監督:石田勝心 特技監督:中野昭慶 主演:藤原弘)

 この映画の製作が発表されたとき、ストーリーを知って疑問符がいくつも並んだ。タンカーを人質にしたテロリストが政府につきつけた要求は、某石油コンビナートの爆破してその模様をTV中継せよというもので、政府は映画スタッフが撮影した特撮映像をTVで放送することでこの危機を回避する……「そんな映画を本当に作るのですか? 公開するのですか?」と質問状を送付したくてたまらなかった。だって、絶対にありえない話だもの。
 東宝の特撮がどんなに優秀だといっても、本物そっくりに見えたことはない。あくまでも特殊撮影ということがわかって上でミニチュア模型、セットの精巧さや繊細な造形、爆発等の迫力を楽しんでいるわけだ。
 よくこの企画にGOサインがでたな、という気持ち。いくら映画ゆえの嘘と弁解されてもねぇ。いや、特撮映画が大好きだからこそ話を聞いただけでまるでノレなかった。だからこれまで一度としてこの映画を観たことがなかった。
 テロリストの一人が水谷豊だった。

 で、実際に観た感想。思ったとおりの出来でした。以上。


 「連合艦隊司令長官 山本五十六」
 (脚本:須崎勝彌、丸山誠治 監督:丸山誠治 特技監督:円谷英二 主演:三船敏郎)

 8.15シリーズ第2弾。冒頭の船頭(辰巳柳太郎)と山本五十六(三船敏郎)のやりとりがいいなあ。
 東映「聯合艦隊司令長官 山本五十六」では、〈連合〉が〈聯合〉になっていて疑問に思っていたのだが、この映画との差別化だったのか。太平洋戦争70年の真実なる副題もついていたな。
 「日本のいちばん長い日」もそうだったが、キャストで東宝映画であることがすぐにわかる。東宝オールキャストといえるのではないか。昭和40年代半ばまでは、まだ大部屋制度も五社協定も存在していたというわけだ。

 この項続く




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Author:kei
新井啓介
ライターの・ようなもの
まぐまPB「夕景工房 小説と映画のあいだに」(studio zero/蒼天社)
「僕たちの赤い鳥ものがたり 1978-79」(文芸社)
神保町のブックカフェ二十世紀で働いています。さまざまなイベントを企画、開催していますので、興味あれば一度覗いてみてください。

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